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【今週公開のコワイ映画 2015/8/21~】 『死霊高校』『ムカデ人間3』『ディアボリカル』 映画祭『夏のホラー秘宝まつり』[ホラー通信]

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今週公開の怖い映画をご紹介します。夏休みも終わりにさしかかる時期ですが、8月22日がすごいことになっております。インパクト抜群のホラー映画3作品にくわえ、ホラー好きは見逃せない映画祭もスタートいたします。

まずは『死霊高校』。かつて出演した生徒が事故死したことのある呪いの演劇『絞首台』をよりにもよって再演しようとしていた高校生たちが、深夜の学校に閉じ込められ、首を吊られていく……という恐ろしすぎるホラーです。真っ暗な深夜の学校ってなんだかもうそれだけでハラハラしてしまいますが、観る者の不安感はすべて的中、おっそろしいことがバンバン起こりますので、覚悟を決めてご鑑賞あれ。

そして、みんなが待ってたシリーズ完ケツ編……いや、完結編『ムカデ人間3』がいよいよ公開! 人間の口とお尻をつなぎにつないで早4年、最後につながれる人数は500人でございます。ホラー通信でも、元祖ムカデ人間の先頭・北村昭博さんとつながってみたり、監督にインタビューしたり、色んな形でご紹介しております。是非劇場で、たくさんのムカデファンとともに、その最後を見届けましょう……!

お次は『ディアボリカル』。『ファイナル・デスティネーション』のアリ・ラーター主演作品なのですが、ジャンルが“SFタイムトリップホラー”となっております。な、なにそれ……! “家の中になにかがいる”という、オカルトホラーによくあるテーマながら、怨霊や呪いではなく時空を超えて“それ”がやってきていた、ということらしいのです。ちなみに、家の中にいるのは“血まみれの怪人”です。や、やだぁ……。どんな真実が潜んでいるのか予想もつかない『ディアボリカル』、どうぞお楽しみに。

さて! 「夏なのにまだお祭りに行ってない!」「まだまだお祭りに行き足りない!」というあなたはこんなお祭りはいかがでしょうか? 昨年に続き、キネカ大森にて開催となる『夏のホラー秘宝まつり2015』でございます。ホラー映画の新作・名作を連日上映する他、トークイベント、上映作品の人気投票なども行われる楽しすぎるお祭りでございます。今年の見どころは『ヘルレイザー』シリーズ3作のリバイバル上映。新作の上映には待望の日本公開となる『ABCオブ・デス2』もございます!

さあ今週は大忙しですね! みなさんスケジュールの調整をがんばって、夏の最後に思いっきりホラーをお楽しみくださいませ。それでは今週も行ってらっしゃい!

各予告編とリンクが表示されない方はこちら

『死霊高校』 8月22日公開

<ストーリー>
ビデオカメラを手に、深夜の学校に忍び込んだ男女4人の高校生。狙いは、明日公演予定の演劇「絞首台」を中止にすべく、セットを破壊すること。しかし、誰もいないはずの校内で20年前のニュース映像が流れているのを目撃する。

―「高校演劇“絞首台”の上演中、主役のチャーリーが首を吊られ死亡しました」

その瞬間、学校は出口なき恐怖の密室と化し、孤立無援の暗闇のなかで、4人は何者かに追い詰められていく……。やがて明らかになる20年前の惨劇の恐るべき真相とは? それを知ったら最後、もう誰も生きては帰れない―!

上映館:新宿ピカデリーほか全国

『ムカデ人間3』 8月22日公開

<ストーリー>
アメリカ某所にある凶悪犯ばかりを収容した巨大監獄ジョージ・ブッシュ刑務所。絶対的独裁者として君臨する所長のビル・ボスは、自らの欲望のままに施設を運営し、秘書のデイジーを性奴隷として扱い、囚人たちの人権など無視して暴虐の限りを尽くしていた。だが、そんな無軌道な運営が祟り、彼の刑務所は全米で最も暴動が多く、職員の離職率が一番で、何よりビルが囚人たちを虐待するため医療費も全米一となっていた。あまりにも酷い状況に、州知事から解雇をチラつかされたビルは、囚人全員の去勢を思いつく。それによって囚人たちは大人しくなり、施設の経営も安定すると考えたのだ。

一方、刑務所の会計士にしてビルの右腕ドワイトは、自ら大ファンである映画『ムカデ人間』と『ムカデ人間2』をビルに見せ、この映画こそ刑務所経営を健全化させる最良のアイデアだと力説するのだった。ビルはその提案を一度は一蹴するが、試しに自らの手で去勢した囚人がまったく大人しくならなかったのを見るや、ドワイトがオランダから呼んだトム・シックス監督の「私の映画は100% 医学的に正確」という意見を聞き、500人の囚人を全員つなげてしまうという暴挙を実行に移そうとする――。

上映館:新宿武蔵野館ほか全国

『ディアボリカル』 8月22日公開

<ストーリー>
とある郊外の住宅街で幼い息子と娘を育てているシングルマザー、マディソン(アリ・ラーター)は、夜ごと繰り返される不気味な出来事に悩んでいた。家の中で謎の発光現象や震動が発生し、顔面が溶け、体が血まみれの怪人がどこからともなく出没するのだ。警察には相手にされず、超常現象の専門家も何かに脅えて逃げ出してしまい、原因はまったくわからない。やがて壁や天井からも現れるようになった怪人の恐怖はエスカレートし、マディソンの子供たちまで襲い始める。その極限状況のさなか、インターネットで怪しげな研究所の存在を知ったマディソンは、科学教師の恋人ニックとともに本格的な調査を開始。やがてマディソンが突き止めたのは、時空の概念を超えた驚愕の真実だった……。

上映館:渋谷TOEIほか全国

映画祭『夏のホラー秘宝まつり』 8月22日スタート

<上映作品>
ヘルレイザー
ヘルレイザー2
ヘルレイザー3
バスケットケース
ABC・オブ・デス
ABC・オブ・デス2 ※新作
メキシコ・オブ・デス ※新作
人間まがい ※新作

上映館:キネカ大森


狂った面白さに映画ファンは虜! 『ナイトクローラー』監督インタビュー「終わりないバイオレンスを撮りにいく」

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まだハリウッドが取り上げたことのないテーマを、センセーショナルかつリアルに描き、全米で大ヒット。ジェイク・ギレンホールの恐るべき怪演に注目が集まっている映画『ナイトクローラー』が8月22日より全国公開中。「恐ろしいほど面白い!」と映画ファンの間で話題となっています。

【独占】映画『ナイトクローラー』本編映像解禁! 間髪入れずにペラペラ……主人公“ルイス”はあなたの周りにもいるかも?
http://getnews.jp/archives/1092246

我々の隣にもいるごく普通の男に潜む底なしの狂気に満ちた怪演により日本で早くも絶賛の声が相次ぎ、ロバート・デ・ニーロが演じた『タクシードライバー』のトラヴィスの再来とも言われている。アカデミー賞ノミネート、米国レビューサイトRotten Tomatoesで驚異の満足度95%といった高い評価を得た本作。

この緻密かつスリリングな脚本を書きあげたのが、ダン・ギルロイ監督。『落下の王国』(06)、『リアル・スティール』(11)などの脚本を担当。この『ナイトクローラー』ではアカデミー脚本賞にノミネートされています。今回はダン・ギルロイ監督に電話インタビューを敢行。映画について色々とお話を伺ってきました。

映画ファンが唸った! 見事な脚本について

―『ナイトクローラー』は見た人全てが唸ってしまう見事な脚本だと感じました。ズバリ、優れた脚本を書く為に一番大事な事とはどんな事だと思いますか?

ダン・ギルロイ監督:いい質問だ。大事なのはまず他の人が聞いたことのないアイディアをみつけることだ。そしてキャラクター、記憶に残るような。その登場人物がすきだろうと嫌いだろうとその人間と一緒にすごしたいと思うような人間だ。いい人、悪い人ではなく、目が離せなくなるような。悪いのに引き込まれる人っているよね。実際に書くことについては、何かに優れるようになるにはなんだって時間がかかるんだ。今回のような脚本を書けるようになるには僕においては何年もかかった。最初のころだったらこういうふうに物語を語ることができなかったと思う。このアイディアで観客とコミュニケーションとる能力がなかった。なにごとにも優れるには努力も必要なんだ。

―ルーには共感できないまでも彼の心情は理解できました。むしろ恐ろしかったのはニーナの方です。本来、公正であるべきはずの報道番組のディレクターが、自分が組み立てたストーリー通りの映像をルーに撮影させ、ニュースで流そうとする。すでに“情報操作”が始まっている。日本でも“やらせ”や虚偽報道などがしばしば問題になっていますが、こうしたメディアの質の低下に対する警鐘を鳴らす意図もあったのでしょうか。

ダン・ギルロイ監督:ひとつの側面だね。ニーナのような人はどの国にもいるだろう。ニュース部門の責任者。数週に一度視聴率があがってくる。ボスから電話がかかってきて視聴率あげないと仕事失うぞと怒鳴られる。テレビのディレクターとして視聴者が経済的なことや政治的なことを延々みてられないことを知っている。短くて暴力的で「あれテレビでみた?」といわれるようなものが求められているんだ。

ニーナは、いまや競合となったインターネットに負けないようすごいプレッシャーにさらされている。今のニュース番組の競争はより激化していてもっと刺激的なものを求められている。物語をつくりあげろ。でっち上げろ、という圧力。ニーナとはそんなキャラクターだと捉えている。ニーナはとにかく切羽詰まった女性だ。昔はいい悪いを判断してたが、今は自分に保険をかけないといけない年になってるんだ。一生遊ぶ金はなく、生きるために働く必要がある。仕事を失うことを何よりも恐れているんだ。そういう切羽つまって、今夜流すネタを必死で探しているような人は、世界中のニュースの現場にはたくさんいると思う。

―『ボーン・レガシー』もそうですが、本作は日常に潜むスリルやサスペンスをリアルに描いています。監督が普段の生活で、そういった恐怖を感じる事があるのでしょうか?

ダン・ギルロイ監督:ルーを意図的に人間らしく撮ったんだ。人と同じように認められたい、仕事を高めたい、となりにいる普通の人と変わらない。観客に「あいつはこんなことをしてるのは、あいつが狂ったサイコパスだからだ」と思われて、だから自分とは関係ないと線をひかれてしまったらそこで終わってしまう。自分やあなたもルーになりうる、日常に潜んでいることを伝えたかったんだ。
ルーのようなやり方で、成功のためには倫理をおかし、部下から搾取しても罰を受けず成功できてしまうのがハイパー資本主義の現代だと思っていて、そんな今の世界を憂いて警鐘を鳴らしているんだ。

―アカデミー賞脚本賞にノミネートされたときの気持ちと、ノミネートがあなたにもたらしたものを教えてください。

ダン・ギルロイ監督:すごく変な気持ちだった。他の賞にもいろいろノミネートされて、いろんな受賞式にみんなで出席したりした。賞のために映画をつくったわけでないから驚いたよ。感謝している。そしてアカデミー賞ノミネーションで自分の名前が呼ばれたときはただ驚いた。オーマイゴッド。素晴らしいことなんだけど、なんというか非現実的で実感が沸かないというか、変な感じだった。自分ではない誰か他人に起こってることのように思ったよ。

―これまで様々な作品の脚本を執筆なさっていますが、今回自ら映像化しようと思った決定的理由を教えてください。

ダン・ギルロイ監督:監督はやりたいと思っていた。ここ数年自分が書いた脚本と違う解釈で撮られる作品をみたりして自分の意図通りにとってみたいと思っていた。本作は自分にとってパーソナルな作品でほかの監督には映像化できない、してほしくないと思ったんだ。予算が800万ドルで撮影は26日間しかない、という中での仕事はギャンブルだったと思うが、自分はプレッシャーや制約に強いほうだから。ナイトクローラーには強い思いが詰まっていたんだ。この世界への警鐘を鳴らしたいと思ったんだ。
自分にとってパーソナルな脚本ができたらまた監督やってみたいと思っている。

報道の闇、“ナイトクローラー”という仕事

―本作は、ルーやニーナだけが悪いのでは無く、より刺激的な写真や映像を観たいと求めてしまう私たち視聴者にも罪があると思いました。監督はそういった現代社会についてどうお考えでしょうか?

ダン・ギルロイ監督:まさに狙いだった。人が、待てよ、もしかして問題はルーやニーナじゃなくてそれをみてる私たちだったのでは?と立ち止まってくれることが。でもそれが罪かというとそれも違うと思う。みずにはいられないのが人間だから。道路で事故がおこって3人死んだら大変な渋滞になる。みんな現場がみたいから見物するんだ。そしてそれはみんなそうなんだ。ただそれを自覚することが大事だと思う。毎日PCの前で何をみるか。酷い映像をみるかどうか自分で選択する。映像は影響を与えるものだから、何をみるかは自分で気をつけなくてはいけない。

―実際に何人かのナイトクローラーにお会いされたようですが、彼らのリアルな現場の話を聞いて、ダン監督が一番驚いたエピソードがありましたら教えてください。

ダン・ギルロイ監督:ジェイクと撮影のロバートと何晩かナイトクローラーたちと出かけたんだ。彼らがどれだけ暴力的な現場をみてるかを知って驚いたんだ。何時間か一緒にいる間に車の事故があって車が橋の下に落ちて重傷者がでた。車から出て橋の下の血だらけの様子を撮影してるんだ。プロとして冷静に撮影して5分で編集して2000ドルになるんだ。彼らの仕事の見学だったわけだけど、まるで戦争だと思った。それで火事とかギャングの撃ち合いとか、終わりないバイオレンスを撮りにいくんだ。

驚いたことがあってね。彼らにルーのようなことをするかと聞いたら、「いや俺らはやらないよ、法律は守るよ」といったんだ。でも次に出かけたとき、深夜3時くらいでLAの大きな高速を走ってて、一人が指差して「何日か前ここでいい事故があったんだ」という。何?と聞いたら「トラックが止まっちゃったんだと。だから俺は車を寄せてカメラをかまえて待ったんだ。15分待ったら3台車が玉突き事故を起こしたんだ」と。つまり彼は警察を呼んでいないんだ。彼は車の事故を待ってたんだ。それって間違っていないか?と聞いたら「僕が事故を起こしたわけではない、事故を防ぐのは自分の仕事じゃない」と。彼のモラルは興味深いよ。

狂気の主人公“ルー”と、彼を演じきったジェイク・ギレンホール

―ダン監督は初監督作でジェイク・ギレンホールを主演に起用されてますが、どの段階で配役を決めていましたか?また彼が関わることで、作品にどんな効果が生まれることを期待しましたか?

ダン・ギルロイ監督:まずジェイクは素晴らしい俳優であること。5年くらい前何かのインタビューで商業的な作品より、挑戦できる役をやりたいと公言してたんだ。この作品はまさに彼にぴったりだと思った。『プリズナーズ』の撮影中に会ったんだけど、いきなり5時間くらい話が止まらなかった。彼はプロデューサーとしても入ったけど、それは彼がとにかく作品に入りこんで一緒に作品をつくるという意識が高かったからなんだ。一緒に作った作品だ。彼の演技への入りこみ方はすごかった。素晴らしい俳優だよ。

―ルーが、薄暗いマンションで観葉植物に水をやり、アイロンをかけながら中世の時代劇(?)ドラマを見ながら笑う。しかもその笑いがワンテンポずれている。この描写が強く印象に残っています。ギルロイ監督はこのシーンをどのような思いで書いたのでしょう。

ダン・ギルロイ監督:彼は孤独な人で狭い部屋に一人で暮らしている。植物は彼がケアしなくてはいけない唯一のものだ。当初脚本には、彼がシャツにアイロンをかけててテレビをみてる、と書いて、笑うとは書いてない。彼は一人でテレビをみるくらいしかすることがないと示したシーンだった。このシーンの撮影の数日前にジェイクが40年代の俳優ダニー・ケイの大ファンだといってたんだ。だからダニー・ケイの映画をテレビにうつして、さらにその中からコミカルな笑えるシーンを編集してうつしたんだ。ジェイクの反応がみたくてね。テレビにシーンをうつして、アイロンかけながらみてて、映像をみて笑っちゃったんだ。で、カメラの後ろの僕らのほうをみて信じられないって顔をしたんだよね。

―ルイスが鏡を割るシーンは、ギレンホールさんの即興だったそうですが、それを見たときのあなたの反応を教えてください。ほかにギレンホールさんの演技で驚かされたシーンがあればそれを教えてください。

ダン・ギルロイ監督:アパートでの撮影は半日で全部撮らなくてはいけなくて時間がなかった。すでに16~17時間撮影しててもう朝の5時くらいにあの鏡のシーンになった。みんな疲れてストレスが溜まってて、ジェイクが鏡を強くたたいたんだ。最初ジェイクは大丈夫だと思ったけど、出てきたら実は血だらけで、親指みせてくれたらパックリきれてて。縦4cmくらいでさらに幅3cmくらい平面でパックリ。とにかく凄い量の血が出たよ。それで朝6時くらいにジェイクのアシスタントと僕の3人で車のってビバリーヒルズの病院にいって、4時間かけてジェイクが42針縫われてるのをみまもったよ。その8時間後にはまた撮影開始したよ。ちゃんと撮れてるか心配だったけど編集の兄とみてていい箇所があったからよかったよ。

ジェイクは俳優としていつも驚かされるよ。小さいことだと、アシスタントのリックがパニックになったときに、ジェイクはリック役のリズの肩に手をやるんだ、慰めるように。ルーはそんなことやらないんじゃないかと思ったけど実際はすごくよく成立してたよ。

―ジェイクはハリウッドスターなので、むしろパパラッチされる側にいると思いますが、この役について最初彼は何と言っていましたか?

ダン・ギルロイ監督:LAで撮影してるとパパラッチに撮影されるんだ。すごい邪魔なんだよ、仕事しようとしてるのに。ナイトクローラーについて撮影してるときに他の人に撮影されてるってことはあったね。変だよね。
あとは別に何もいってなかったな。

ロサンゼルスの描写、映像について

―本作は脚本やギレンホールの怪演など見所がたくさんありますが、緊張感のある撮影も一つだと思います。撮影で気をつけた事、本作で新たに取り入れた機材やガジェットがありましたら教えてください。

ダン・ギルロイ監督:大きいこととして、まずルーを偏見したり見下さないということを決めたんだ。彼を悪者という描き方は一切しなかった。例えば音楽、明るい音楽をつかったんだ。彼の頭に流れてる音楽をイメージした。ルーのサウンドトラックだと考えた。自己肯定するような。映画的に彼を危険にフィルムノワール的に彼が現れると音楽がなって影が近づいてきて、といった描き方はしなかった。別の見せ方をしたんだ。ルーを人間らしく。笑みを浮かべて。ルーへの偏見を避けることで一定の緊張感をつくった。それで観客をひきつける。怖い映画だったら悪者がわかりやすくて、ここからくるぞと身構えるけど、そういう示唆はしなかった。観客はルーが普通の人にみえて彼を追っているという緊張感が宿る。なぜこの男に魅力を感じるんだろう? 次どうなるんだろう? と思わせる。狂人ではなく日常にいる人なのにルーのような一線を越えてしまうというのが大事だった。

あとルーは地を這うコヨーテのような動物的な役柄だと思っていたから最初から空撮はしないときめたんだ。ネイチャードキュメンタリーのような撮り方をしたんだ。またテクニックとして店で容疑者と警察が撃ち合うシーンの映像はすべてルーのカメラの画面を通してルーの視点でみせたりもしたよ。

―この映画では、ロサンゼルスの夜の街がとても重要なポイントになっており、昼間と違って夜は何が潜んでいるかが分からない恐怖を感じました。監督はニューヨークや他都市とは異なる、ロサンゼルスならではの恐怖は何だと思いますか?

ダン・ギルロイ監督:LAが描かれるときだいたい高速とダウンタウン。なんかグレーな都市という描かれ方するけど、実際すむと全然違うと思うんだ。自然があって山と海があって、タランチュラが歩いてたり、コヨーテが横切ったり。僕が捉えるLAは実はもっと野生的で手におえない場所なんだ。だからそんなところを撮りたいと思った。撮影のロバートは近くに住んでてルーが手に入れるダッジ・チャレンジャーを借りて撮影の3ヶ月前から夜中にLA中を走りまくったよ。明け方に夕飯食べてみたり。普段みれないLAの顔をみてまわったんだ。夜は恐ろしくて美しい。ニューヨーク出身だからニューヨークのほうがよっぽど四角く整理されている印象だよ。


【ダン・ギルロイ監督プロフィール】

1959年6月24日アメリカ、カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。本作が初監督作品となる。脚本家として『トゥー・フォー・ザ・マネー』(05)、『落下の王国』(06)、『リアル・スティール』(11)などを担当、また兄トニー・ギルロイが脚本・監督を務めた『ボーン・レガシー』(12)の共同脚本も手掛けている。芸術一家の生まれで、父フランク・D・ギルロイはトニー賞およびピューリッツァー賞受賞戯曲家、双子の兄ジョン・ギルロイは『フィクサー』(07)、『ソルト』(10)、『ボーン・レガシー』(12)、『パシフィック・リム』(13)などを手がけた映画編集者。妻であるレネ・ルッソは、ルイスが撮影した映像を売り込むTV局のディレクター、ニーナ役で出演。

(C)2013 BOLD FILMS PRODUCITONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

今までにない世界観が超魅力的!紀里谷和明最新作『ラスト・ナイツ』レビュー

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2015年11月14日(土)から全国で公開予定の紀里谷和明監督最新作『ラスト・ナイツ』。『CASSHERN』や『GOEMON』など独特の世界観と映像美が持ち味の紀里谷監督のハリウッドデビュー作ともなる本作を、筆者は一足お先に観賞してきた。ネタバレを避けつつも、ほどほどに本作の魅了についてアツく紹介したい。

ストーリーは、ベースに「忠臣蔵」があることからも、王道をいく騎士道復讐劇といえるだろう。とある領邦国家の領主・バルトーク(モーガン・フリーマン)は腐敗する帝国の巨大な権力を後ろ盾に横暴を振るう悪徳大臣を多くの他の領主の眼前で告発し、その大臣の計略で皇帝から死刑を宣告されてしまう。そしてバルトークの忠実な部下である騎士団長のライデン(クライブ・オーウェン)は、大臣の奸計によりその手で主君、バルトークを斬首せざるを得なくなってしまうのであった。
1年後、国と主君を失ったライデン達騎士団は細々と生活を送っていた。しかし、裏では主君のかたきを討ち、名誉を回復せんと密かに計画を練っていたのであった。

公式サイトURL http://lastknights.jp/

エキゾチックな中世ヨーロッパ風世界観と映像美が凄い!

本作の時代背景は完全な創作で、架空の国家が舞台である。しかしながら、それは突拍子もない異世界ではなく、リアリティのある架空の世界なのであった。例えば、バルトークの城はロケ地チェコの重厚な城を使用しており、雪に覆われた白銀の世界はまさに中世ヨーロッパの領邦国家そのものである。一方、帝国の首都は港を備えた巨大都市で、また少し時代の違う印象も受ける。更に衣装面ではそのエキゾチック度合いも高く、悪役の大臣が中国清朝風の典礼服を着ているかと思えば、主人公たち騎士団の鎧は皮で出来ており、モダンで非常にクールな印象を受ける。さらに皇帝に至ってはもはやいつの時代の服ともわからぬ絢爛豪華な衣装を身に纏っている。歴史好きの筆者としては、「一体どの時代がモチーフなのだろうか」と想像を膨らませるだけでも相当にワクワクするような舞台設定となっている。
そして何より、キャストの人種が非常に多岐に渡る、ということだ。アジア人・ヨーロッパ人・黒人と肌の色に関係なくキャラクターがストーリーの要所要所に配置されており、実に目新しい画面構成となっていることに驚かされる。このような世界観は、今までなかなかお目にかかることは無かったのではないだろうか。

そしてそれらの実にエキゾチックな世界観が、紀里谷和明監督の強みでもある幻想的な映像美として確実に昇華されている点も挙げておきたい。撮影もなるべく自然光に頼るという、イタリア人画家カラヴァッジョにインスピレーションを得たという絵作りは、確かにどのシーンも絵画的で、美しい。前作『GOEMON』が極彩色に彩られた世界であったのに比べ、本作は重厚で自然な美しさを強調しているように感じる。

「刀」が魅せるアクションも見応えアリ!

本作では”sword”の事を「」と訳している。その実、主人公たち騎士団の用いる「刀」は諸刃であるが非常に細く、中世ヨーロッパの一般的な剣というよりも、どちらかと言うと日本の刀剣に近い印象を受ける。
その「刀」を用いた戦闘アクションシーンは非常にスピード感があり、計算尽くされた剣術には惚れ惚れするほどである。

物語の後半で、いよいよ復讐を決行するシーンでの集団戦闘は圧巻!流れるような剣技が光る。

清々しいまでの騎士道精神

本作のテーマでもある主君への揺るぎない忠誠心、つまり「騎士道」。物語後半に明らかになる主人公ライデンの君主への忠誠心、そして衝撃のラストでは間違いなく心揺さぶられるだろう。非常に明快なテーマであるだけに、美しい映像とも相まって感動を禁じ得ないストーリー展開となる。

そして主人公のライバルで実質的に最大の敵、イトー(伊原剛志)。ライデンの行く先に常に立ちはだかるイトーの存在感は、大物ハリウッド俳優達の中にあっても圧倒的である。数少ない日本人キャストということもあり、敵ながらも応援したくなってしまうイトーの持つ「騎士道精神」もまた見どころだ。

映画『ラスト・ナイツ』は11月14日(土)、TOHOシネマズ スカラ座ほかで全国ロードショー。

映画『ラスト・ナイツ』特報

※画像は公式サイト(http://lastknights.jp/)及びYoutube(https://www.youtube.com/watch?v=yGK53r_8iDE)から引用

―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: 106) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

偽者キューブリックがアポロ計画をねつ造? ドタバタコメディ『ムーン・ウォーカーズ』予告編

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実はアポロ11号の月面着陸は失敗していて、アメリカ政府の依頼を受けたスタンリー・キューブリック監督が着陸映像をねつ造したらしい……? 昔からまことしやかにウワサされてきたそんな都市伝説を大胆に脚色したコメディ映画『ムーン・ウォーカーズ』が、11月14日(土)より日本公開。本日、ノンストップのドタバタを繰り広げる日本語版予告編が公開されました。

『ムーン・ウォーカーズ』予告編(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=7TndpeDr66I

1969年、なかなか月面着陸を成功できないNASAを見かねたアメリカ政府は、映画『2001年宇宙の旅』のキューブリック監督に月面着陸映像のねつ造を依頼。CIA諜報員・キッドマン(ロン・パールマン)をロンドンに送り込みます。しかし、ベトナム戦争帰りで映画に全く詳しくないキッドマンは、偶然キューブリックのエージェントオフィスにいた借金まみれのダメ男・ジョニー(ルパート・グリント)から莫大な制作費をダマし取られるハメに。次第にロンドンのギャングやヒッピー、そしてCIAまでもが入り乱れ修羅場と化していく中で、果たして彼らは世紀のねつ造計画を成功させることができるのでしょうか……。



『ハリー・ポッター』のロン役で日本でも一躍有名になったルパート・グリントは、なぜかヘタレのダメ男役が妙にお似合い。『パシフィック・リム』『ヘルボーイ』シリーズなどのロン・パールマンとどんな掛け合いを見せてくれるのか、フランス・ベルギーの合作映画ということで、アメリカへの配慮は一切ナシのブラックな笑いを期待したいところです。

なお、11月14日(土)の全国公開に先駆け、上野・浅草で開催される『したまちコメディ映画祭』では9月20日(日)にジャパン・プレミア上映を予定。宇宙にちなんだ豪華ゲストも来場するとのことなので、公開を待ちきれない人は『したコメ』のサイトをチェックしましょう。

『ムーン・ウォーカーズ』公式サイト:
http://moonwalkers-movie.jp/

『したまちコメディ映画祭 in 台東』公式サイト:
http://www.shitacome.jp/2015/index.shtml

(c) Partizan Films- Nexus Factory – Potemkino 2015

映画『ライチ☆光クラブ』配役発表! ゼラは古川雄輝・ジャイボに間宮祥太朗[オタ女]

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独創的な世界観と圧倒的な画力で支持される鬼才漫画家・古屋兎丸先生のロングセラーコミック『ライチ☆光クラブ』が実写映画化。先日、メインキャストと特報映像が解禁となりましたが、配役は明らかになっていませんでした。

大人になることを拒んだ美しい少年たちの愛憎の物語として、少年同士の愛も描かれるセンセーショナルな本作。野村周平さん、古川雄輝さん、間宮祥太朗さんら最旬の若手俳優たちが一体誰を演じるのか、出演キャスト陣のキャラクター配役が解禁です!

【タミヤ役】野村周平
光クラブの創設者であり、リーダー。
映画には原作の『ライチ☆光クラブ』をベースに、物語の前日譚を描いた『ぼくらの☆ひかりクラブ』(上下巻)にあるタミヤ目線のエピソードも盛り込まれており、タミヤの心理的な葛藤が描かれる。

【ゼラ役】古川雄輝
光クラブを絶対的なカリスマ性で独裁的に支配し、「帝王」を名乗る。
最強の機械(ロボット)を創りだし、醜い大人たちのいない世界を作ることを企てている。14歳の誕生日を目前にひかえ成長を恐れる。

【ジャイボ役】間宮祥太朗
原作コミックファンの1番人気のキャラクター。
ゼラへ服従するあまり、残酷で狂気じみた行動をとる謎めいた美少年。最後に光クラブに加わった。

【ニコ役】池田純矢
ゼラに絶対的な忠誠を誓い、光クラブのアインツ(1番)を自負する。

【雷蔵役】松田凌
オネエキャラでジャイボと並ぶ美少年で光クラブのムードメーカー。

【デンタク役】戸塚純貴
ゼラとともに最強の機械(ロボット)開発に尽力する秀才。

【ダフ役】柾木玲弥
タミヤとカネダの幼なじみで光クラブの創設メンバー。眼帯が特徴。

【カネダ役】藤原季節
タミヤとカネダの幼なじみで光クラブの創設メンバー。いつも爪を噛んでいる。

【ヤコブ役】岡山天音
いつも笑顔の光クラブ唯一の癒しキャラ。


映画は今冬、全国ロードショー。特報映像で期待度が増したので、早く光クラブのみんなを見てみたいです!

映画『ライチ☆光クラブ』
http://litchi-movie.com/

(C)2015『ライチ☆光クラブ』製作委員会

最凶ヒーロー“デッドプール”がスクリーンで大暴れ! 特別映像を観て『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』のヌルハゲは忘れよう

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『アベンジャーズ』『X-MEN』『スパイダーマン』を生み出したマーベル史上最も過激なヒーローとして絶大な人気を誇る“デッドプール(愛称:デップー)”。1991年のコミック初登場以来、ファンが長年待ち続けた彼の主演作『デッドプール』が、いよいよ2016年2月12日に全米で封切られる。本日、原作さながらの暴力とジョークがたっぷりと詰まった2分40秒の特別映像が公開されたぞ!

『デッドプール』予告編(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=pVL59BYekL8

デッドプールなんて初耳という人もいるかもしれないが、実はネット界隈の「最強のアメコミ・ヒーローは?」という問いに対して高確率で名前が挙がるほど凄いヤツなのだ。対戦格闘ゲーム『マーヴル VS. カプコン3』では、パワーゲージを引っこ抜いて相手を殴り倒すという離れ業に目を丸くしたキッズも多いだろう。

デップーちゃんは『X-MEN』シリーズに登場するイカレ傭兵で、高い戦闘技術と驚異的な治癒能力(ヒーリング・ファクター)の持ち主。そして彼が最強たる由縁は、自分自身が“コミックの中の登場人物”だと知っていること。第4の壁(現実とフィクションの世界の境界線)をブチ破って読者に語りかけてきたり、ピンチになれば出版社に乗り込んで編集担当者を脅し、ストーリーを都合の良いように描き替えてしまうこともしばしば。さらに原作ではサノス(ラスボス級のヴィラン)に“死ぬことができない呪い”をかけられているので、何をしても死なない、文字通りの“最強キャラ”である。

映画版のデッドプール役は、『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』でもデッドプール(らしきキャラ)を演じてヌルハゲの汚名を着せられたライアン・レイノルズがリベンジ。いや、あればデッドプールなんかじゃない、今回がデップーちゃんのスクリーンデビュー作なのだッ!

え!? レイノルズは『グリーン・ランタン』でDCコミックのヒーローを演じていただろって? そんなファンのツッコミを見透かしたように、トレーラー映像では「コスチュームを緑色にはするな!」と皮肉たっぷりのジョークを言い放っているのがサイコーだ。そして、スピード感あふれるアクロバティックなガン&ソードアクションが超絶クール。これぞ俺たちの待ち望んだデップーだ!

日本では2016年公開予定。配給は20世紀FOXなので、『X-MEN』シリーズとのクロスオーバーにも心から期待したい!

(C) 2016 MARVEL & Subs. (C) 2016 Twentieth Century Fox

あさって8/28公開!『テッド2』ざっくり直前レビュー

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あさって8月28日(金)より全国公開予定の『テッド2』。前作から引き続き、ほぼ同じキャストと製作陣で撮られた本作。試写会で見たものの、内容盛りだくさんで詳らかに解説することが不可能なため、ネタバレ抜きでざっくりと感想を書いてみた。是非適当に流し読みして頂きたい!!

ストーリー
前作でバイト先の同僚・タミ=リンと結婚することになった動くクマのぬいぐるみ「テッド」。テッドは、親友のジョンと同じ教会で結婚式を上げる事となる。フラッシュ・ゴードンが牧師を務める中、2人はそれぞれ結婚を誓い(汝この熊を夫として認めますか)、盛大に結婚パーティーが執り行われる。パーティーでは前作に出てきたキャラクターが勢揃いし、相変わらずな下品トークを連発。そんな中、ジョンだけは浮かない顔をしていて、フラッシュ・ゴードンからの一発吸わないか?という誘いも断っていた。まだ元カノとのスランプから脱出できていなかったのだ。
一方、自堕落なテッドが上手く結婚生活を送れる筈もなく、早くもカップル崩壊の危機に。そこで、「子供を作ればまたタミ=リンと仲良くなれる」との結論に達したテッドは、子供を作ろうと奔走する。しかし、その過程でテッドが「人間でない」事が政府によって認定され、子供を作るどころではなくなる。これを覆すために、若い女性弁護士を雇って政府と法廷闘争することになったテッド。相棒ジョンの大きな助力もありつつも、テッドは本当に人間で有ることを証明し、子供を授かることができるのだろうか?ーー

公式サイト http://ted-movie.jp

とにかく「濃い」新キャラクター達

話題の新ヒロイン・サマンサ役のアマンダ・セイフライド。上記の画像では右手にライターを握りしめながらチャーミングな笑顔を振りまくなど、なかなかなハジケっぷりが期待出来ることは一目瞭然だろう。本作では、とある「有名人」に間違えられる迷シーンがあるので、何に似ているのか是非想像してみて欲しい。また本編中でも披露される美声にも注目だ。

もはや説明不要、本作ではパトリック・ミーアン役のモーガン・フリーマン。映画内で解説させるなら世界一とも言われるこの男は、なんと弁護士役で登場。非常にマジメなポジションかと思いきや、そんなことはありませんでした

その他にもリーアム・ニーソンがゲスト出演している上、大量の超有名キャラクター達が出演?しているので、是非その目で確認して欲しい。

全体的にスケールとお下品度がパワーアップ

トレーラー映像からも分かるように、テッド達の下品さは健在、というよりも明らかにパワーアップ。しかも思わず目を逸らしたくなるような、視覚的に強烈なものが多くなっている。
一方、ストーリーのスケール感もビッグに。今回はボストンを離れ、更なる舞台でテッド達がひっちゃかめっちゃかな大騒動を引き起こすぞ。笑いあり、涙あり、パロディーと下ネタのオンパレードに腹筋崩壊間違いなしだ!

映画『テッド2』は8月28日(金) 全国公開予定

『テッド2』 公式トレーラー

※画像は『youtube』(https://www.youtube.com/embed/9UYEGm5bnBk)より引用

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(執筆者: 106) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

子役大嫌いなビル・マーレイが絶賛! 『ヴィンセントが教えてくれたこと』のジェイデン君が可愛すぎる

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ビル・マーレイ扮する破天荒なダメオヤジと12歳の少年の交流を描いた映画『ヴィンセントが教えてくれたこと』が、9月4日(金)TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ新宿他全国公開となります。

『ヴィンセントが教えてくれたこと』(原題「ST.VINCENT」)は、昨年北米でたった4館から公開スタートし、4週間後には2500館に拡大、最終的には4400万ドルを突破する驚異の快進撃を果たした話題作。

ヴィンセント役を演じたビル・マーレイは「キャリア最高の演技」との高い評価を得て、また監督と脚本を手がけたセオドア・メルフィはこれが初長編作ながら、本年度のゴールデン・グローブ賞で見事作品賞と主演男優賞にWノミネートされています。


また、ビル・マーレイの相棒役を堂々と務めた子役のジェイデン・リーベラーは、この作品がきっかけで、キャメロン・クロウ監督、ジェフ・ニコルズ監督らの撮影に加わるなど一躍引っ張りだこに。本作ではアルコールとギャンブルに溺れるちょい悪オヤジのヴィンセントといつしか友情が芽生えるいじめられっ子のオリバーを演じます。

そんな彼をヴィンセントはいじめっ子に立ち向かっていく方法をレクチャー。実は子役嫌いとして知られているビル・マーレイ。噂によると「子役は全部撃ち殺せ」と口走ったこともあるとかないとか……。そんなビル・マーレイに当時10歳のジェイデンは強い印象を与えたようです。

小さい体ながら、友達に立ち向かっていく姿に、いち早く映画を観た女性からは「かわいい!」との声が! そして、はにかむ笑顔や小さい体に着た制服姿は、萌えポイントとなっています。ジェイデン・リーベラー監督や、子供嫌いのビル・マーレイだけでなく、日本の女性陣のハートもわしづかみ決定です。


【セオドア・メルフィ監督 コメント】

ジェイデンは平常でも撮影中でも驚くほど落ち着いていた。彼はただの子供じゃない。 ジェイデンの人間性はビル・マーレイにとてもよく似ているよ。周りの人々のことを理解し、それにどう反応すべきかわかっているんだ。演じないことも分かっている。無理をせず、いつも静かにそこのいるんだ。90歳の老人のように見えるが、笑うとやっぱり子供だったよ(笑)。

【ビル・マーレイ コメント】

普段は子役に対して懐疑的なんだが、彼はすばらしいよ。日ごとに好きなっていった。ある時、彼がすごい演技をしたことがあったんだ。今まで私がすごいと思った俳優たちと同じぐらいの演技をね。あれには驚いた。妥協せず、とことん突き詰めて…本当に一人前の俳優として輝いていたよ。

『ヴィンセントが教えてくれたこと』
監督・脚本・製作:セオドア・メルフィ  
出演:ビル・マーレイ メリッサ・マッカーシー ナオミ・ワッツ クリス・オダウド テレンス・ハワード ジェイデン・リーベラー 

http://ww.vincent.jp

(C)2014 St. V Films 2013 LLC. All Rights Reserved. �


500円で観れるという事で行ってきた:塚本晋也監督『野火』終戦記念日トークショーレポート

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現在、自主制作映画ながら各方面で話題沸騰中の塚本晋也監督最新作『野火』
圧倒的な予算によるハリウッド超大作が連発したこの夏において、ある意味最も奮闘した日本映画といえるのではないだろうか。見たいけど公開劇場が少ない…という人も多かった事だろう。

だがしかし、終戦の日である8月15日には、なんと25歳以下は500円で観れるという情報をSNSでキャッチ。しかも、17:00の回に監督本人によるティーチイン付き。
たまたま25歳以下で金欠による映画不足を引き起こしていた筆者は、この恩恵に預かるべく渋谷のユーロスペースへと足を伸ばした。

ストーリー
第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島。
日本軍の敗戦が色濃くなった中、田村一等兵(塚本晋也)は結核を患い、部隊を追い出されて野戦病院行きを余儀なくされる。
しかし負傷兵だらけで食料も困窮している最中、少ない食料しか持ち合わせていない田村は早々に追い出され、ふたたび戻った部隊からも入隊を拒否される。そしてはてしない原野を彷徨うことになるのだった。
空腹と孤独、そして容赦なく照りつける太陽の熱さと戦いながら、田村が見たものは・・・

公式サイトURL(http://nobi-movie.com)より引用

タダ事じゃない「戦場の狂気」

映画好きな筆者は、戦争映画もある程度よく観るジャンルであった。その為、『野火』の前評判が「相当にグロいらしい」というのを耳にしても、さして気にも止めなかった。戦争映画は大抵グロい物だと思っていたからだ。だが、実際に本編を観ると、『野火』が並みの戦争映画ではないことに気付いた。腐乱する死体、千切れる腕、飛び散る脳みそ、腐った眼孔にたかる蛆、そして日本人同士の狂気ーーこれは「タダ事じゃないな」と思わずにはいられなかった。
筆者は大学で歴史を勉強していた為、太平洋戦争で何が起きたのかを大体理解していたつもりではあった。しかし実際に映像として再現されたレイテ島の戦場は、まったく自分の想像力が及ばない世界の光景であった。ここまで説得力のある映像だとは思わなかったので、まるで映画が頭の中にある戦争の知識と一体化し、モヤのかかっていた「太平洋戦争」そのものがハッキリと浮かび上がる様だった。
200万人以上の戦死者を出し、そのほとんどが餓死か病死という事実を、ここまで強く印象付けるものは人生でも初めて経験である。内容については、少しでも興味のある方は実際に作品を見た方が良いと思うので、ここでは割愛させていただく。

立ち見が続出するほど超満員でのトークショー

『野火』の上映終了後、興奮と沈黙の空気が入り交じる劇場内に塚本晋也監督森優作さんが姿を表した。
この時、後ろを見回して初めて気が付いたのだが、なんと場内では階段部分を含めて隙間なく人が座り込んでいた。こんなにも多くの立ち見を出した劇場上映は、初めてだったかもしれない。ふと、こんなにも力のある映画は、できれば座って見たいと強く願ったのを覚えている。

終戦記念日での上映について

塚本監督は「上映終了後にお客さんの前でしゃべるのは気まずい」とジョークを交えながら、和やかにトークセッションが始まった。ここではその一部を紹介したい。

冒頭の自己紹介で塚本監督は「ずっと終戦記念の日に上映したいという風に思っていて、そう思っていた期間がすごく長かっただけに、本当にその日が遂に来てしまったというのが信じられない。」と感慨深けに語った。

戦争について

そして『野火』の舞台となったレイテ島の戦いそのものについての話題になり、森氏は「全然知らなかった。」と本心を明かした。
塚本監督も「森君が言ったように、戦争のことについては全然分からなかった。祖父母、父母も話す雰囲気が無かった。『野火』を作ると決めてからも、よほど意識的に勉強しないと戦争がどのような時系列かもよく分からなかった。」「ただ『野火』を作るにあたって、自覚的に調べることで、色々なものがリアルに見えてきた。映画を作る作業を通して、時間は戦争からどんどん経っているが、意識としては戦争のことが良く見えてきた。色々な方の話を聞くきっかけがあって、その方々の話と調べてきた知識とが結びつき、一体感を持ってだいぶ色々なことが、ああ、こうだったのか、と分かるようになってきた。」と自身の戦争に対する意識の変化を語った。

この他にも、役作りをする上での苦労話や撮影現場の疲弊した状況なども語られた。

今の日本における『野火』

また塚本監督は現在の日本では「戦争のリアリティはなかなか掴めないと思う」とし、「昔は戦争は絶対悪で、無いのが当たり前という世の中だったので、『野火』を作るのも普遍的な物語を作る、という感じだった」「今はそういう感じでは無く、『野火』を作ること自体がバッシングを受けるような雰囲気さえあった」「あんなに遠かった戦争が間近に迫ってる感じがある。森君のような若い世代の人は、アンテナを立てて耳をダンボにして社会と接していかなければならない世の中になってしまった、という気がする」と述べた。
最後に、「いまこのような世の中で、『野火』を作り始めた時期はピッタリだったと感じる。幸か不幸か。」と、本作と現代日本の時代状況の変化について胸中を明らかにした。

質問コーナー

さらに、塚本監督と観客との間で質問コーナーも実施された。その中から幾つか紹介したい。

Q「『野火』を作る上で、市川崑版を意識したか?」
塚本監督「『野火』は原作の印象があまりにも強いので、そのことを描きたかった。また市川崑版とは大分違うと思ったので、あまり市川崑版の事は意識せず作ることができた。自分のやりたい事をやろうと思ったのではなく、とにかく原作に近づこうとした。大自然の中で、人間が泥だらけになっていく対比を描きたかった。かなり根本的な違いがあるとおもう。」

Q「飛び散る肉などが非常にリアリティがあった。技術の進歩などで、死の表現にこだわった点などはあるか?」
塚本監督「今回は大自然の美しさをクッキリと撮りたかった。また兵隊の死についても、戦争体験者などに意見を聞き、人間が完璧な「モノ」になっていく、嫌なカタチになって壊れていく様子をこだわろうとした。造形担当の人も相当頑張って、陸で死ぬとこうなる、水で死ぬとこうなる、など資料を用いて細かく追究した。」

25歳以下500円の真意とは

公式HP上にある塚本監督のコメントによると、

映画は一定の思想を押し付けるものではありません。感じ方は自由です。しかし、戦争体験者の肉声を体にしみ込ませ反映させたこの映画を、今の若い人をはじめ少しでも多くの方に見てもらい、いろいろなことを感じてもらいたいと思いました。そして議論の場に使っていただけたら幸いです。
(引用:http://nobi-movie.com/intro.html)

とのこと。
今回、劇場にはかなり多くの25歳以下の若者が訪れ、中には10代の人も散見された。塚本監督は壇上から、多くの若者が500円で観賞していると知ると、かなり嬉しそうにしていたことからも、特に若い世代に見てもらいたい、という希望が強かったのかもしれない。静かながらも、熱のこもった塚本監督の語り口調には、何か特段の思いが有ったように感じられる。
個人的にも、戦争映画好きさえ突き動かすとてつもない「力」のある映画なので、是非普段映画を見ない若者に見てもらいたい作品であると考える。

塚本晋也監督最新作『野火』は渋谷ユーロスペース(9/18(金)まで)他全国で順次公開中。監督自ら舞台挨拶を数多く行っているので、紹介はtwitter(@tsukamoto_shiny)を是非確認してほしい。

※トップ画像は『映画「野火 Fires on the Plain」オフィシャルサイト』(http://nobi-movie.com/)より引用、他は撮影許可の下、筆者撮影。

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『ロッキー』シリーズがまさかの再始動! 映画『クリード』でスタローンが敏腕セコンドに

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シルベスター・スタローンの代名詞とも言える映画『ロッキー』シリーズ。アカデミー賞作品賞を獲得した『ロッキー』1作目の誕生から40年、その伝説はまだ終わっていなかった……! この度、シリーズ正統続編としてロッキーの新たな活躍を描く映画『クリード(原題)』の日本公開が決定。全世界から涙を搾り取った『ロッキー・ザ・ファイナル』で最後じゃなかったのね!

もちろん主役のロッキー・バルボアを演じるのはシルベスター・スタローン。前作の時点で老境に入っていた彼が再びリングに……? というワケではなく、今作では若手有望選手のセコンドを務めるとのこと。しかもその選手は、ロッキーの永遠のライバルで盟友でもあったアポロ・クリード……の息子! これは胸アツ!

アポロ・クリードからボクシングの才能を受け継いだ息子アドニス・ジョンソンを演じるのは、『ファンタスティック・フォー』(ヒューマン・トーチ役)の日本公開も控えたマイケル・B・ジョーダン。年齢的には孫でもおかしくないけど、それは置いておこう。彼は、凄腕のヘビー級チャンピオンだった亡き父のことを何も知らないものの、かの伝説的な戦いの地フィラデルフィアでロッキーと出会う。ロッキーは「トレーナーになって欲しい」というアドニスの依頼を引き受け、タイトル戦を目指してトレーニングを始めることに……。

ロッキーのハングリー精神をこれでもかと刺激し続けてきたアポロ・クリード。今度はその息子を相手にし、ロッキーが父親代わりとなって「アイウォンチュー!」と厳しい指導を繰り広げるのだろう。ロッキーとアポロのアツい友情を見守ってきたファンならきっと見逃せないハズ。

シルベスター・スタローンが放つ新たな伝説『クリード(原題)』は、11月25日に全米公開、12月23日より日本公開される。

(C)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

Sexy Zone・中島健人が“悪魔級ドS男子”に! 『黒崎くんの言いなりになんてならない』実写化[オタ女]

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人気の少女漫画作品の中でも、「男の子にこんなことしてほしい!」という女子の妄想を赤裸々にかつ楽しく描いているドキドキしっぱなしのラブストーリー『黒崎くんの言いなりになんてならない』。Sexy Zoneの中島健人さん主演、小松菜奈さん、千葉雄大さん共演で実写映画化される事が明らかになりました。

『黒崎くんの言いなりになんてならない』は、強引でドSな“黒王子”と優しい“白王子”の狭間で揺れ動く女子という夢のような物語を描いたもの。

女子高生のヒロイン由宇は、突然の親の転勤で寮生活をすることに。学園のスター「白王子」こと白河くんもいる寮で、ひとつ屋根の下で同居?!と浮かれるも、そこには「黒悪魔」と皆に恐れられる悪魔級ドS男子「黒崎くん」も住んでいた! 副寮長でもある黒崎くんに逆らった由宇は「罰」として、いきなりファーストキスを奪われ、以後黒崎くんに「絶対服従」する破目に……。

「俺に絶対服従しろ」なんてセリフを言ってしまう主人公の悪魔級ドS男子「黒崎晴人」を演じるのは、映画主演3作目にして初のラブストーリーに挑む、Sexy Zoneの中島健人さん。今回の映画化に際して、誰からも愛されるキャラクターの中島さんが実際の性格とは真逆の“ドSキャラ”を演じたらどうなるのか?「中島健人ד悪魔級ドS男子”」という面白い化学反応で、中島健人さんのキラキライメージを覆す作品になるのでは?」と製作陣から白羽の矢がたったそう。

「黒悪魔」と呼ばれるくらい周囲から恐れられ、ヒロイン・由宇にもドキドキな無理難題を課す「黒崎くん」のドSっぷりを中島がどのように魅せるのか。中島健人の役者としての新境地に期待が高まります。

そんな「黒崎くん」に「絶対服従」を命じられるも、そのドSな振る舞いに抵抗しつつ翻弄されるヒロイン由宇を演じるのは、小松菜奈さん。昨年『渇き。』で衝撃的な長編映画デビューを飾り、『近キョリ恋愛』『バクマン。』そして本作と原作ものへの出演が相次いでいます。

さらに、黒崎くんの親友で女子の憧れのまと「白王子」こと「白河タクミ」を演じるのは、『アオハライド』「きょうは会社休みます。」でも、圧倒的な存在感で世の女性陣を魅了した、千葉雄大さん。イケメン祭必至であります!

『黒崎くんの言いなりになんてならない』は2016年2月27日(土)より全国ロードショー。

【中島健人さんコメント(黒崎晴人役)】
今回、映画のお話を頂いて、「恋愛劇」ができることがすごく嬉しかったです。映画に出演して、ご覧になる皆さんの胸をときめかせたい!という気持ちが強かったので、今回このチャンスを頂けて感動しました。大学の友達が、少女漫画マニアの男性なんですが(笑)、色々な漫画を知っている彼がピンポイントで「俺も青春したい!」と言っていた作品で、タイトルは知っていました。映画のお話があって「そういえばあいつが言っていたな」と思って読みました。「スリーS」でした。「スーパー・すごく・S」だなと(笑)。

(黒崎くんは)比較的すぐ言動に出すタイプじゃないと思います。心の中では思いつつもすぐには言わずに一対一になったときに言うとか、目標を狙い定めて自分の気持ちを伝えるタイプだと思うので、それまでのストロークは、目の演技で色々訴えられたらなと考えています。今までの自分にはないタイプの役なので、目力を大事にしていきたいなと思っていますし、時に憂いとか心に抱えているものもしっかりと出していけたらなと考えています。映画でのラブストーリーは初めてなので全力で挑みたいです。「黒」要素というのが実際の自分にはないと思っていますが、もし少しでもあるとしたら、この役を通してこれから見つけていくしかないなと。この映画で初めて「ブラックな中島」を見て頂けるんじゃないかなと思っています。

(C)「黒崎くんの言いなりになんてならない」

「面白い映画はきちんとスクリーンにかけるべき」 いとうせいこう氏に『したまちコメディ映画祭』今年の注目作を聞いてみた

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文化芸術の街“上野”と喜劇発祥の地“浅草”を舞台に開催されるコメディ映画の祭典『したまちコメディ映画祭in台東』(通称:『したコメ』)。第8回を迎える今年は、9月18日(金)~22日(火・祝)に開催を予定しています。

ガジェット通信は『したコメ』の総合プロデューサーを務めるいとうせいこう氏にインタビューを実施し、今年の注目作や映画祭への想いなどについてお話を聞いてきました。

『したまちコメディ映画祭』とは

――今年で第8回を迎える『したまちコメディ映画祭』ですが、総合プロデューサーとして携わることになったキッカケを改めてお伺いできますでしょうか。

いとうせいこう:もともとは台東区フィルム・コミッションの委員を務めていて、映画のロケ誘致を通じて地域の活性化を目指した活動をしていました。でもある時、映画の撮影を誘致するより映画祭を開催した方が手っ取り早いと思い付いて、一緒に活動していた井上ひさしさんが「せっかく浅草でやるならコメディ専門がいいよ」とアドバイスをくださったのがキッカケです。下町の人は気が早いからトントン拍子に話が進んで第1回の開催に至って、気付いたらもう第8回ですよ。

――もともと映画祭が根付きやすい土壌があったということですね。

いとうせいこう:浅草・上野は江戸時代から寄席文化が盛んだったわけだし、日本初の常設映画館が設立されたのも浅草電気館。古くから劇場がひしめいていて、映画祭を開催するにはもってこいの場所だと思っていました。そんなきちんとしたバックグラウンドを持ちつつ、さらにジャンルをコメディに絞ったのは地元の人も理解しやすかったんじゃないかな。企画には十分な“納得”が必要じゃないですか。

――『したコメ』は日本未公開の面白い映画を招聘する役割としても大きいですよね。2009年に『ハングオーバー!』を上映した時点で、日本ではDVDスルーされる予定の作品だったとは今でも信じられません。

いとうせいこう:『ハングオーバー!』もそうだし、2010年の『きっと、うまくいく』もそうだよね。本当に誰もマークしていなかったもん! 面白い映画はきちんとスクリーンにかけるべき。『したコメ』をキッカケにして、そんな流れができていくのが我々の理想です。

――スターが出演していない低予算のコメディは、なかなか日本で上映されにくい環境ですよね。有名俳優が出演していても、今年で言えば、一時期話題になった『ジ・インタビュー』や全米大ヒットの『22ジャンプストリート』ですら劇場公開されていない状況です。

いとうせいこう:自分たちは面白いと思っていてもシネコンの時代には限られた大作しか上映できない、そんな“じくじたる思い”を抱えている人たちがたくさんいるハズなんだよね。僕らが良い映画を選んで、配給会社と折衝しながら観客に届けることである種のムーブメントを作っていきたいです。枠は限られているけど、できるだけ『したコメ』で扱っていきたいですよ。過激な作品も含めて、くまなく目を光らせているので。もう自分で認めちゃうけど、今回の『グリーン・インフェルノ』なんてコメディじゃないんだよね(笑)。

<『グリーン・インフェルノ』ストーリー>
環境保護を訴える活動をしている学生グループたちはアマゾンの森林伐採の不正を暴くために現地を訪れる。しかし、彼らの過激な活動は問題視され、強制送還されてしまう。不運にも帰路についた飛行機にエンジントラブルが発生。あえなく彼らの乗った飛行機は、熱帯雨林に墜落してしまう。生き残った学生たちは助けを求めるのだが、そこにいたのは人間を食べる習慣をもつ食人族だった…。捕らわれた彼らは一人、また一人と喰われていく―。

(c)2013 Worldview Entertainment Capital LLC & Dragonfly EntertainmentInc.

――これは苦手な方が間違って観に行かないように祈っています(笑)。

いとうせいこう:平然とラインアップに滑り込ませてるけど、要するに面白い映画をスクリーンにかけたいという主旨が伝わる良いメッセージじゃないかな。一応は、「怖すぎて笑える」なんて宣伝してるけどね(笑)。『したコメ』じゃないと劇場で観ることができない作品が世の中にはたくさんある、その一部だけでも救済したいというのが我々の望みです。それが映画業界や映画ファンに浸透していって、ヒットしてしかるべきものがスクリーンにかかるという流れを作りたいよね。

注目の特別招待作品


――作品選びの嗅覚には本当に頭が下がるのですが、今年ジャパン・プレミアとして招聘している注目作品を他にも教えていただけますか?

いとうせいこう:今年の特別招待作品も凄いですよ。自分で言うのも変だけど、全米公開前の作品もあるって頭がオカシイよね(笑)。その中でも、まず注目はジム・キャリーの『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』ですね。

<『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』ストーリー>
20年もの間、精神病院に入院しているロイドを見舞うハリーは自身が腎臓病を患ったことをロイドに打ち明ける。これまで一切反応を示さなかったロイドが突然飛び起き、「病気のふりをしていただけ」とハリーをだましていたことをばらす。ハリーはしてやられたと、笑い転げた。二人はハリーの腎臓病を治すため提供者を探す旅にでるのだが、そこにはおバカなやつらが待っていた!

(c) 2014 DDTo Finance, LLC

――ジム・キャリーの王道コメディ“Mr.ダマー”が20年ぶりの復活ですね。

いとうせいこう:これは“コメディ万歳”という気持ちで来て欲しいです。ジム・キャリーもいい歳で、顔に結構なシワができちゃってるのよ。それでも、まだまだバカを追及している姿に感動しちゃう。この企画がこのタイミングで成立した理由がまったく分からない(笑)。しかも監督がボビー&ピーター・ファレリー兄弟。ボビー・ファレリー監督は『したコメ』第1回の時も来日していて、参加したティーチインで熱狂的なファンと濃いトークを繰り広げてくれました。

――今年の来日も楽しみですね。ハリウッドの第一線で活躍している監督の声が聞けるなんて素晴らしいことです。

いとうせいこう:もちろん他の作品も全部オススメですけど、そうだなあ、『ムーン・ウォーカーズ』も楽しいですよ。

<『ムーン・ウォーカーズ』ストーリー>
1969年、なかなか月面着陸を成功出来ないNASAを見かねた米政府は、映画『2001年宇宙の旅』のキューブリック監督に月面着陸映像の捏造を依頼するため、CIA諜報員・キッドマン(ロン・パールマン)をロンドンに送り込んだ。しかし、ベトナム戦争帰りで映画に全く詳しくないキッドマンは、偶然キューブリックのエージェントオフィスにいた借金まみれのダメ男・ジョニー(ルパート・グリント)に莫大な制作費を騙し取られてしまう。すぐに自分が騙されたことに気づき奪い返しに向かうが―。

(c) Partizan Films- Nexus Factory – Potemkino 2015

――ロン・パールマンと、『ハリー・ポッター』でロン役だったルパート・グリントが出演する作品ですね。

いとうせいこう:これはフランスとベルギーの合作で、フランスのスパイ・パロディ映画『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』を見た時にも思ったんだけど、コメディに対する予算のかけ方や熱意がハンパない。それでいて、ユーモアに包まれながらアメリカへの批判も交ざっている。エスプリが効いてオシャレでしたね。

注目のプログラム

――本当に楽しみな作品が満載ですが、他にも様々なプログラムが用意されていますよね。西村喜廣さんの特殊造型講義なんて反響が大きそうです。

いとうせいこう:炎上ばっかりして大変そうだよね(笑)。『進撃の巨人』で使ったアイテムを持ってきてくれて撮影の裏話なんかも聞けるみたいなので、きっと楽しいんじゃないかな。実際の映画でどんな特殊造型を手掛けたのかを講義してくれるプログラムの他に、子どもたち向けのワークショップも開催します。映画っていろんな役割の人がいるじゃないですか。俳優や監督だけじゃなく、美術や音声みたいな裏方の仕事に興味がある中高生もいると思うんですよ。映画祭として次の世代を育てたいという意図もあって、こういう取り組みはどんどんと広げていきたいです。

――そういうテーマとしては、とり・みきさんの吹替え講義なんかも用意されていますね。

いとうせいこう:とり・みきさんは『スサミ・ストリート全員集合 ~または”パペット・ フィクション”ともいう~』の吹替え監修を担当しているんだけど、これがまたバカにできない強烈な作品でしたよ。

<『スサミ・ストリート全員集合 ~または“パペット・フィクション”ともいう~』ストーリー>
絶大な人気を誇る白熊のコメディアンのカーレ、カエルの舞台演出家ファルケンホルスト、マネージャーでモグラのモールの3匹は、豪華なナイトクラブを連日満杯にし、ウハウハ状態。しかし、カーレにはコカインの常習癖があった。付き人のリッチーは、凶暴な裏社会の顔役スペックから、カーレに渡すクスリを買わなくてはならなかった……。

(c)2013 Universum Film. All Rights Reserved.

――ドイツの映画ですね。パペットが主人公なんですか?

いとうせいこう:一見するとパペットのほんわかした映画と思いがちだけど、くしゃくしゃになった毛糸のカタマリみたいな麻薬中毒の芸人パペットとかが登場するんですよ。マフィアとの抗争みたいなって、本当にヒドい話なんだよね(笑)。とり・みきさん監修の吹替えが最高で、ただでさえ面白い映画を観た後に、また映画講義が聞けるなんてたまらないでしょ。

――本当に楽しみなプログラムが目白押しで困ってしまいます……。まだまだ多くのアイデアを隠し持っていそうな気がしますが、最後に、映画祭に関して今後の展望を教えてください。

いとうせいこう:まずは商業映画や注目作を撮る監督をコンペから輩出したいということですね。腹が減ってれば飯を食わせてあげる、そんな下町の風土が多くの芸人を生み出してきたわけ。それを映画祭でやりたい、映画やコメディにまつわるスターを『したコメ』から誕生させたいという思いは強いです。監督でなくとも、例えば今年のポスターは水木しげる先生がデザインしてくれましたけど、来年は突然18歳の無名の学生が担当しているかもしれない。そういうマジックを起こしたいよね。

――ご自身でメガホンを務めるのはご興味ないですか?

いとうせいこう:僕は監督には向いてないです。あんなに胃の痛くなりそうな仕事は嫌(笑)。人間関係が難しいもん。

――では、原作の方を今後も期待させていただきます(笑)。

いとうせいこう:小説は一人でできるからね。そっちはこれからも頑張りますよ。

――本日は、ありがとうございました!


『したまちコメディ映画祭in台東』公式サイト:
www.shitacome.jp

赤ワンピ&フリンジ付きサンダルでトレンド先取り!? アン・ハサウェイ主演『マイ・インターン』ポスター解禁 [オタ女]

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『プラダを着た悪魔』(2006)でファッション業界をキャリアアップする姿を好演したアン・ハサウェイが、今度はニューヨークのファッションサイトのCEOを演じる『マイ・インターン』。日本では2015年10月10日に公開となりますが、このほどポスタービジュアルが解禁になり、赤いワンピースを着たアン演じるジュールズと、70歳でインターンとして彼女の会社にやってくるベン役のロバート・デ・ニーロが並び、年齢も性別も違う二人がどんな関係に発展するのか気になる構図となっています。

本作の衣装スタッフは、『アグリー・ベティ』シリーズや『セックス・アンド・ザ・シティ2』を手がけたスタッフが担当。衣装デザイナーのジャクリーン・デメテリオは「トレンドを見越したファッションにしたわ。例えば、フリンジ付きのサンダルもその一つ。撮影したのは一年前だから映画が公開されるときに新鮮に見えるように工夫したの」と話し、現在フリンジ付きのアイテムが日本でも流行していることをまさに先取りしています。

この真っ赤なワンピースは、あのベッカム夫人のファッションブランド“ヴィクトリア・ベッカム”。バッグはシャネル、時計はカルティエ、シューズはロジェヴィヴィエと、ハイブランドで固めながらも、取り入れようと思えばできるリアルクローズ志向なのも2010年代らしいところ。ジャクリーンは「ジュールズはニューヨークで仕事をして家庭を持っている現代女性なの。映画を見た女性たちが共感できるようなすぐにでも真似できるリアルクローズにしたのよ」とそのコーデの意図について説明しています。

家庭を持ちながら何百人もの社員を束ね、ファッションサイトを運営する会社のCEOのジュールズが、40歳年上の“シニア”インターンのベンと出会い、人生経験豊富な彼のアドバイスにより人生最大の試練をどのように乗り越えていくのか。それが見どころになっている本作。初共演を果たしたアン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロの二人ですが、劇中でベンのアドバイスによって学び成長していくジュールズのように、実際にこの共演で俳優としてのあり方を学んだ、とのこと。
「ロバート・デ・ニーロから学んだことはたくさんあったわ。現場でのスタッフに対する態度も素敵だった。周りのことをちゃんと考えて尊重しているし、俳優として惜しみない努力を続けてきたから今の彼がいるの。本当に尊敬しているわ」といい、役柄同様に俳優としての立ち振る舞いを学んだと話しています。

ビジネスにプライベートに悩みの多い女子ならば、ベンの言葉が心に沁みることも多いのでは、と思わせられる本作。“デトックス・ムービー”と標榜しているだけに、作中のファッションはもちろん、そのストーリーにも注目です。

映画『マイ・インターン』予告編(120秒)【HD】2015年10月10日公開 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=eMs-qYM_AeM

『マイ・インターン』
10月10日(土)、全国ロードショー

監督・脚本:ナンシー・マイヤーズ  
キャスト:ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ

ワーナー・ブラザース映画

映画『マイ・インターン』オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/myintern/ [リンク]

(c)2015 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC ALL RIGHTS RESERVED

「生ぬるい映画に用はありません」 ナレーションがフリーザ様っぽい『シッチェス映画祭2015』予告編[ホラー通信]

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ジャンル映画の祭典『シッチェス映画祭』上映作から、日本向けによりすぐった作品を劇場公開する『シッチェス映画祭 ファンタスティックセレクション2015』が10月24日よりスタートします。
毎年恒例となったこの特集上映、昨年の開催では本家の『シッチェス映画祭』でグランプリに輝いた『ボーグマン』や、清水崇監督が手掛ける『キョンシー』などが上映されておりました。


このたび、今年上映の6作品すべてを網羅した予告編が解禁となりました。この予告編、ナレーションが大変聞き覚えのある美声なのですが、それもそのはず『ドラゴンボールZ』のフリーザ様や『アンパンマン』のバイキンマン役で知られる声優・中尾隆聖さんが務めておられます。

予告編が表示されない方はこちら

「生ぬるい映画に用はありません」と言い切っているだけあり、今年の上映作も大変パンチのある作品揃いでございます。
『グレムリン』シリーズや『ハウリング』のジョー・ダンテ監督がおくるゾンビ・ラブコメディ『ゾンビガール』や、『屋敷女』の監督コンビ、ジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロの『恐怖ノ白魔人』、に狼男に変身してしまった警官を描くアクション・ホラー『ウルフ・コップ』など全6作品。あなたの気になる作品はどれかな? 予告編をチェックして、10月の開催を楽しみにお待ちください。

「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2015」
2015年10月24日(土)~
 東京:ヒューマントラストシネマ渋谷
 大阪:シネ・リーブル梅田
 福岡:福岡中洲大洋
11月14日(土)~
 石川:金沢シネモンド

公式サイト:http://www.shochiku.co.jp/sitgesfanta/

ホラー映画・ホラーイベントなどのコワイエンタメ情報サイト『ホラー通信』 http://horror2.jp/

【今週公開のコワイ映画 2015/8/28~】 男女6人の青春シェアハウス・ホラー『テラー・オブ・ハウス』

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今週公開の怖い映画をご紹介します。

今週公開になるのは『テラー・オブ・ハウス』。男女6人の共同生活を記録する番組をモチーフにしたホラーでございます……あらやだ、きっとあの人気番組がモデルですね。ストーリーは、様々な夢を叶えるためにシェアハウスに集まった若者たちが、数々の怪奇現象や不可解な事件の果てに「実は自分たちがすでに死亡しているのではないか」ということに気付きはじめる……というもの。今作を手がけたのはこれが初の長編作品となる角田裕秋。エンターテイメント集団『にがウーロン』で”ライフスタイル角田”としても活動されています。こちらは渋谷ユーロスペースにて一週間限定レイトショーとなりますのでお気をつけあれ!

そして、先週ご紹介した『夏のホラー秘宝まつり』も9月4日までキネカ大森にて開催中でございます。こちらもまだの方はお急ぎくださいね。それでは今週も、行ってらっしゃい!

予告編とリンクが表示されない方はこちら

『テラー・オブ・ハウス』  8月29日公開

<ストーリー>
この家からは誰も出られない。

青春は宝物。恋も、夢も、そして恐怖も。男女6人の共同生活を記録したとあるテレビ番組「テラーオブハウス」。彼らはみんな、自ら”志望”している夢を叶えるために、このルームシェアをしている。ともに生活しているメンバーたちは夢を叶える努力を惜しまなかった。相変わらず、卓哉(岡安旅人)は曲を作り、智子(山崎真実)はオーディションの日々。そして、由佳里(小西キス)は漫画を描き続けていた。

そんなある日、新メンバーの野々村美咲(池田光咲)がやってくる。美咲もまた、女優”志望”であり、恋や夢を語り合うその生活に憧れてやって来た。だが、実際に出演してみると、何かがおかしい事に気がつく。夜な夜な響きわたる不気味なノック。窓に浮かび上がる、謎の女性と、血の手形。感電しても死なない卓哉に、怪我をしてもすぐに治る由佳里。不細工なのか、腐っているのかよくわからない篤郎(坂元パルム)の顔面。それはあまりに、テレビで見ていた世界とはかけ離れていたのだ。そして、美咲は、とある仮説を立てるのだった。

「もしかして、みんな、”死亡”してない?」

上映館:渋谷ユーロスペース ※一週間限定公開

(C)2015 SDP

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レトロゲームの大同窓会! “ザ・80年代”な映画『ピクセル』見どころチェック

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9月12日全国公開予定のレトロゲームを題材とした映画『ピクセル』。巨大なパックマンがニューヨークを荒らしまくるセンセーショナルなトレーラーが非常に印象的だが、レトロゲーム世代からは少し離れた世代の筆者的にはあまりピンと来ないところであった。しかし、その内容は結構ホロリとくるレトロゲーム愛で満ちた王道感動ストーリーだったのだ!もはやレトロゲーの大同窓会状態!!

ストーリー
1982年―NASAが宇宙に向けて「友好」のメッセージを発信した。 2015年―しかし、そのメッセージは大きな誤解を招き、我々人類に襲い掛かる。 ヤツらはゲームキャラに姿を変え、地球を侵略開始したのだ。 グアムの空軍基地を襲う「ギャラガ」インドのタージ・マハルを崩す「アルカノイド」ロンドンの空を覆いつくす「センチピード」NYの街を食べ尽くす「パックマン」そして、ワシントンDCに現れた巨大母船からは、「スペースインベーダー」をはじめとする大量のゲームキャラが…「ドンキーコング」まで!?!? 全てをピクセル化させ、ブロック状にボロボロと破壊してしまう攻撃に、ピコピコと崩壊する世界。 米国大統領は決断する―この最大の危機を乗り越える為の秘策を。 それは、1982年当時のビデオゲームのチャンピオン達を集め、ヤツらに対抗することだった。見た目は残念なオヤジ達を“アーケーダーズ”として組織し、米国陸軍中佐の指揮の下、対ゲームキャラ用の兵器を開発し、戦いに挑むのだが―。 ゲームオタク vs 80年代ゲームキャラ、今「決戦」がスタートする!

公式サイトURL http://www.pixel-movie.jp/index.php

突拍子もないストーリーとそれを支えるCGの質感が凄い

本作は一応、未知のエイリアンが地球を襲ういわゆる「パニックディザスター」映画。監督は『ハリー・ポッター』シリーズや『ホーム・アローン』でお馴染みのクリス・コロンバス。エイリアンの侵略といっても、主人公が下品な元ゲーマー中年オヤジ達という時点でお分かりの通り、どちらかと言うとコメディ映画といった方が適切なのかも知れない。ともかく、ベテラン監督による安定したストーリーの面白さは保証されているので、安心してご覧頂きたい。レトロゲームを知らなくても、なんだかよく分からないうちに感動してしまうようなシーンも結構多いぞ!

また「80年代レトロゲームが地球を襲う」という筋書きにはいくらなんでもムチャぶり感を禁じ得ないかも知れないが、なんでもかんでも「ピクセル」にしてしまうエイリアン襲撃シーンのCGは圧巻の一言。巨大なドット絵キャラが街を闊歩する様は非常にインパクトがあり、そしてまたその質感もかなりリアルで、現実とドット絵が違和感無く融合してゆく様子は必見だ。めちゃくちゃ愛くるしい「Qバード」も出てくるぞ!

もはや全てが懐かし過ぎる、ザ・80年代

子供に『Halo』や『コールオブデューティー』ですら「昔のゲーム」と言われてしまうような世界観の本作。そんな中、『ギャラガ』や『アステロイド』など、もはや考古学的なレベルのゲーム作品が強烈に自己主張する内容に、スカッとするレトロゲームファンも多い事だろう。
そもそも、80年代は和製ゲームが世界で圧倒的強さを誇っていた時代。日本人にとってはDNAレベルで馴染みのあるキャラクター達がひっきりなしに本編に出てくるので、レトロゲームに詳しくなくても日本人であれば見ていて楽しいのは間違いない。

レトロゲームにそこまで詳しくない筆者も、『ドンキーコング』や『パックマン』などゲーム史に残る記念碑的作品は除いて、『アステロイド』などゲームの表舞台からとうに忘れ去られたような作品が、スクリーンいっぱいに映しだされた時は感動の余り思わず目尻を濡らしてしまったほどである。もしも世代が直撃していたら、懐かしさと嬉しさで悶絶死していたかもしれない…

懐かしいのはゲームだけではない。ストーリーのあらゆる箇所に仕込まれた「80年代ネタ」が、強烈な郷愁感と「そこでこのネタかよ!」と思わず突っ込みたくなるような突拍子のなさを見事に成立させている点も見どころだ。ネタバレになってしまうので詳しくは記せないが、MTVなどで’80sを彩った往年のスター達が、何の前触れもなく出現する場面は抱腹絶倒必至だ。

この映画はまさに「ゲーム温故知新ムービー」。素朴な楽しみを味あわせてくれる古き良き時代のゲームを、ソシャゲ全盛期の今だからこそ見直すべきなのかもしれない。スクリーンの物言わぬレトロゲーキャラ達が、「ゲーム」ってこんなんだったよな!と問いかけてくる気がしてならないのは筆者だけであろうか。

映画『ピクセル』は9月12日(土)より全国ロードショー。

※トップ写真は『ピクセル』公式サイト(http://www.pixel-movie.jp/index.php)より、その他の画像は『Youtube』(https://www.youtube.com/watch?v=BOAcEPrxzqs)より引用。

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(執筆者: 106) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

「エンドロールまで気がつかなかった」映画『シンデレラ』の王子を演じた城田優が好評!

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良くも悪くも盛り上がり必至の話題といえば、洋画の「日本語吹き替え版」問題。大作であるほど、声優以外の俳優やお笑い芸人、ミュージシャンといった「本業」以外の芸能人がチョイスされがち。フタをあけてみれば、やはりプロ声優とは雲泥の差……というケースも少なくありません。

しかし、『モンスターズ・インク』のサリー&マイクや『アナと雪の女王』など、俳優やタレントが日本語吹替を担当して、バッチリ合っている作品も。今回は、今年公開映画の芸能人の吹き替えで好評を博したケースをピックアップ! 本編をじっくり確認したくなっちゃうかも?

■『シンデレラ』の高畑充希(シンデレラ)、城田優(王子)

誰もが知る「シンデレラ」の物語をディズニーが実写化し、今春公開されて大ヒットを記録した本作。ヒロインのエラ役を高畑充希が、キット王子役を城田優が演じ、声優だけでなくエンドソングのデュエットも担当し話題になった。共にミュージカルできたえられた確かな演技力と歌声を持つ役者であるため、クオリティの高さは折り紙つき。特に城田優の王子役はハマり役すぎて、「エンドロールで名前を見るまで誰の声かわからなかった」という声も多数!

■『インサイド・ヘッド』の竹内結子(ヨロコビ)

少女の頭の中の「感情」を主人公にした、ディズニー/ピクサーの異色作。その中で、主人公の「ヨロコビ」を演じたのが竹内結子だ。かつては2001年に地上波で放送された『タイタニック』で、ケイト・ウィンスレット扮するローズ役の声を担当し、ファンから好評と対極の評価を得て「伝説」と呼ばれたことも…。しかし現在公開中の『インサイド・ヘッド』では、各方面から絶賛の嵐を受ける大逆転!オーディションを経て選ばれたというだけあって、ばっちりハマる形になったようだ。

■『ミニオンズ』の天海祐希(スカーレット・オーバーキル)

『怪盗グルー』シリーズのマスコット的存在だった謎の生物・ミニオンたちを主人公にしたスピンオフ。不思議な言葉でまくしたてながら大暴れするミニオンたちの中で、負けないぐらいの存在感を放つのが、女悪党スカーレット・オーバーキルだ。演じるのは女優の天海祐希。『崖の上のポニョ』のグランマンマーレ(ポニョの母)役など、過去にも声優経験のある彼女の演技は、さすがの一言!コミカルながら迫力のある悪党役を見事に演じきっている。

『シンデレラ』デジタル先行配信中
MovieNEX(4,000円+税)は2015年9月2日(水)発売!

http://www.disney.co.jp/movie/cinderella.html

発売:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(C)2015 Disney

全財産725円で学校を設立?! 驚きの実話を映画化した『サムライフ』

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27歳、元高校教師。全財産725円。だけど「学校」作ります! 長野県・上田市という小さな街でで、社会を本気で変えようとした若者たちが歩んだ奇跡の実話を映画化。『サムライフ』のDVDが現在発売中です。

主演の三浦貴大さんをはじめ、松岡茉優さん、加治将樹さん、柾木玲弥さん、山本涼介さんという若手実力派が集結した本作。『シムソンズ』『しあわせのパン』『コドモ警察』等のヒット作品のプロデューサーを務めた森谷雄さんが初監督を務めています。今回は、森谷監督のインタビューを入手。原作作りかける想い、映画作りについて、ぜひご覧ください。

―原作を本屋で買って、原作者に連絡を直接取って、一週間後には会っていたそうですね。
 
森谷監督:著者に渋谷でいきなりお会いして、その時初めて僕の仕事の説明をしました。お会いする前に、先入観があるとよくないと思ってメールには書かなかったんでね。そこからクランクインするまで7年(笑)。長岡先生は、はちゃめちゃで、先のことを全然考えていないんだけど、やりたいことがあって、そのための計画なんて何もしていないのに、それがしたいということだけで邁進していく。それがすごいなって思って。みんないまは石橋を叩いて、叩いて、叩き割っちゃうほどの人が多い中、夢を実現させるために、とにかくやると。とにかく目標に向かって走っていくことは、すごく素晴しいなと思って。書かれていることに感化されましたね。

―クランクインするまで7年は短くなかったですよね。どうして7年もかかったのですか?
 
森谷監督:『サムライフ』は、3,000部しか世の中に出回っていなくて、7年間どうしてかかったかと言うと、理解をしてもらうまでに時間がかかった。結局、映画作りってテレビとは全然違って、テレビは月曜9時の50分間を埋めてくださいというと、そこはすでに東京ドームが用意されていて、そこで玉を投げればいいだけなんですけど、映画はどっかの河原で草をむしるところから始めないといけなくて、プレイする球場すら自分たちで作らないと、つまり場所ですよね。そうしないとお金も集まらないし、そこが大変でしたね。

―実話を映画化するにあたって気をつけた事は?
 
森谷監督:雪山で恩師の先生の亡霊に出会うシーンとか、そんなの原作にあるわけじゃないですけど、でも映画にする上では主人公の心がガクって落ち込む、でも立ち直る心に変わる瞬間というものが絶対、映画には必要なんですよね。それを最後のクライマックスに向けて、どうしてもつくらなければいけない時に、それは嘘なんだけれど、そこだけは映画としてのウソをつかせてほしいと。普段、プロデューサとして脚本家の及川(拓郎)さんと仕事をする時は、及川さんが書いたモノに自分では絶対に手を入れず、アイデアだけ言って。彼が書いたモノを監督に渡していましたが、今回は僕自身が監督なので、ラブレターの状態になりました(笑)。書いてきたモノに対して気になったセリフの語尾やシーンの組み換え、取捨選択などを自分でして戻すという、普段とは異なるスタイルでしたね。

―今回、映像特典もこだわったそうですね。収録の未公開シーンについて教えてください。
 
森谷監督:ハル役の岸井ゆきのちゃんと三浦君の病室のシーンを、実は丸ごとカットしていますが、それがすごくいいシーンで。明日開校式だから、わたしは大丈夫だから頑張って、みたいな。担当している子どもに背中を押されるシーンですが、実は、その後に来る奥さんが、別の意味で彼の背中を押すシーンもあって。そのシーンが並ぶことで、シーン同士が相殺されちゃうような気がしました。こういう男が存在している背景に、奥さんの存在は大きいですからね。

―重要なシーンの背景に、別のシーンがあったとは驚きです。
 
森谷監督:一方でハルのシーンでは彼女が先生と出会ったことで、窓を自分で開けるところまで前進するシーンがありますが、そのシーンは僕が現場で加えました。それがあったので、そっちをいかして、病室のシーンはオミットして。奥さんに背中を押されるシーンを軸に編集したので、すごく涙を呑んで切ったシーンです。なので、今回日の目を見ることは、すごくありがたいですね。

『サムライフ』発売中

【ブルーレイ】¥5,000+税
【DVD】¥4,000+税

【特典映像】(予定)
●未公開シーン●メイキング●舞台挨拶
【封入特典】(予定)
ブックレット

http://samulife.ponycanyon.co.jp/

(C) 2015 「サムライフ」製作委員会

青年はしゃべる生首と幸せに暮らしていました……ほんとに? ポップな心理スリラー『ハッピーボイスキラー』[ホラー通信]

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「キュートでポップで首チョンパ!」と銘打たれたスリラー映画『ハッピーボイスキラー』(9月19日公開)をご紹介いたします。
生首や犬猫の声が聞こえるという不思議な青年を描いた今作ですが、監督は自伝的アニメ映画『ペルセポリス』で一躍注目を浴び、アカデミー賞にもノミネートされたイランのマルジャン・サトラピ監督。これまで自分の脚本でなければ映画を撮らなかった彼女が脚本に惚れ込み、メガホンをとったとのこと……期待できそうでしょ?

主人公は、精神科医のカウンセリングを受けながらまじめに工場勤めをするジェリー。優しい性格ながらもちょっと“ズレ”ている青年で、家では“しゃべる犬・しゃべる猫”と仲良く暮らしています。そんな彼が恋に落ちたのは、勝ち気で華やかな同僚女性・フィオナ。彼女をかなり一方的に食事に誘いますが、つれない彼女はあっさりスッポカシ。傷心の彼は、ひょんな拍子に彼女を殺害してしまいます。

キーとなっているのがジェリーが“精神科の治療を受けている”という点で、しゃべる犬や猫と楽しく暮らしていると思われた彼の生活は、実は現実とはちょっとズレたものなのです。徐々に明らかになる、“ジェリーの頭のなかの世界”と“現実”との差異。そして彼が悲しい過去のために、他の人には聞こえない“犬や猫の声”が聞こえはじめたことも明らかになっていきます。ジェリーは殺してしまったフィオナの生首を大事に冷蔵庫に入れ、共に暮らしはじめますが、犬や猫の声が聞こえる彼には“生首の声”も聞こえたのです……。

「冷蔵庫にひとりぼっちよ? 友だちがほしいわ。誰か殺してきて!」

ジェリーは生首のフィオナのために、更に殺人を犯してしまうのか? それとも、心に抱えた孤独を打ち消し、真っ当な幸せを手に入れることができるのか? しゃべる犬は正しい道を、しゃべる猫は悪に陥る道をアドバイスしますが、ジェリーは果たしてどちらの言うことを聞くのでしょうか……。

主人公・ジェリーを演じるのは映画『デッドプール』での主演が決定しているライアン・レイノルズ。チャーミングながらも何かが欠損した愛すべき主人公を好演しています。憧れの女性フィオナを演じるのはジェマ・アータートン。生首だけの状態でもキャラの立ったフィオナ役がかなりのハマり役。更に、『イントゥ・ザ・ウッズ』や『ピッチパーフェクト』で注目の集まるアナ・ケンドリックが、ジェリーの“幸せ”のキーとなりそうな運命の女性を演じ、この物語に深みを与えています。

触れ込みどおり“キュートでポップ”でユーモラスながらも、ときどきゾクリとするほど恐ろしい側面も見せる今作。ホラー・スリラーとして観ても、ジェリーという青年のヒューマンドラマとして観ても大変面白い作品になっております。この物語を観終えたあと、今作のテーマソング『Sing a happy song』があなたにはどんな印象に聴こえるでしょうか? ぜひ劇場でお確かめください。

映画『ハッピーボイス・キラー』は9月19日よりシネマート新宿・シネマート心斎橋にて公開です。どうぞお楽しみに!

公式サイト:http://happy-voice.jp/

予告編とすべての画像が表示されない方はこちら

http://getnews.jp/archives/1115182

『ミッション・インポッシブル』興収40億突破! “飛行機ぶら下がり”よりも苦労したシーンとは?

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全世界で大ヒットし新記録を更新中の『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』。公開24日間で興収40億円、動員300万人を突破と、勢いが止まりません!

本作の監督を務めたのは、クリストファー・マッカリー。同じくトム・クルーズ主演の『アウトロー』の監督の他、『ユージュアル・サスペクツ』『オール・ユー・ニード・イズ・キル』等の脚本を務める、緻密なストーリーを紡ぐ名手。「ガジェット通信」ではインタビューを敢行。映画について、“飛行機ぶらさがりアクション”よりも時間をかけたシーンについてなど、色々とお話を伺ってきました。

【動画】『ミッション・インポッシブル』でトム・クルーズの吹替を担当! 声優・森川智之さんを直撃
http://getnews.jp/archives/1097476

―今回インタビューを掲載させていただく「ガジェット通信」というサイトは、ナードというかギークというか、そういった読者が多くて、『ミッション・インポッシブル』で言うと「ベンジー」(サイモン・ペッグ)のキャラクターに近い感じなんです。

クリストファー・マッカリー:それは最高だね! 僕もベンジーが大好きで、僕もオタクだよ(笑)。今回はトム演じるイーサンとベンジーの友情が多く描かれている。ベンジーはギークだし、ちょっとお調子者の所もあるんだけど、一度信じた事、信じた仲間は絶対に裏切らない。ここに多くの人は感動するし、このキャラクターを大好きになるんじゃないかな。

―彼が操っていたガジェットの数々も、“夢のスパイ道具”という感じで、とてもワクワクしました。

クリストファー・マッカリー:これまでのイーサン・チームはインカムをつけてお互いに通信するけれど、今回は彼らの所属する「IMF」の活動が制限されているから、誰にも見つからない様にやらなくてはいけない。だからメガネ型の装置を作って、映像と音声をやりとり出来る様にしたんだ。ちなみにあのメガネのデザインはペッグが選んだんだよ。

―そして、何と言っても手に汗握るアクションの数々……。全て素晴らしかったのですが、個人的にはバイクのチェイスシーンが好きです。

クリストファー・マッカリー:あのシーンは、撮影していて本当にハラハラしたよ。なぜかというと、撮影現場には僕もいて、車で猛スピードでバイクを追いかけていたからだ(笑)。凄まじいスピードが出て、なおかつクレーンにぶら下げたカメラを支えられるほどの重厚感が無いといけない、そんな車を特別に作ったんだ。だからあんなに迫力のあるシーンが撮れた。この車はこれからの映画作りに役立つはずだよ。

―なるほど。監督自身にも命の危険が……(笑)。

クリストファー・マッカリー:あの場面の中で、イーサンがイルサ(レベッカ・ファーガソン)を猛スピードで追いかけるのだけど、いきなりイルサが道の真ん中に飛び出てきて、イーサンがそれをよけて転倒する、というシーンがある。あれは、狭い道だったし役者やスタッフがケガをしてしまっては困るから、何度も何度もテストをした。それで、僕がイルサ役の代わりとなって、カメラテストをした時に、バイクが僕の腕をかすったんだ。これはまずいと思って、レベッカの位置を数十cmずらしたよ。

―そういった背景を知って映画を観ると、さらにハラハラ出来そうですね。オペラの劇場でのアクションシーンは、クラシックな建物と観客達のシックなファッション、何よりイルサのドレスが素晴らしかったです。


クリストファー・マッカリー:あのドレスに対する議論は、トムの飛行機ぶら下がりシーンよりもずっと長い時間をかけているんだよ。まず、長い銃を持つので立ち膝をつける形をしていなくてはいけない、アクションシーンがあるから動きやすくなくてはいけない、それでいてオペラの雰囲気に合う美しさでなければいけない。最終的にあのデザインになったのだけど、レベッカはとてもよく似合っているよね。だから、ドレスについて褒められると「よくそこを見てくれたね」と嬉しくなる。

―こうして監督にお会いして、監督がとてもオシャレなので、この作品もオシャレな仕上がりになっているんだなと思いました!

クリストファー・マッカリー:いやいや、僕はオシャレじゃないんだよ。妻に言われたまま着ているだけさ(笑)。でもそうやって、女性にも注目してもらって、例えば「ミッション・インポッシブルで初めてアクション映画を観て好きになりました!」なんて人が増えると、とても嬉しいね。女性の方がこの映画の様な、ミステリー深いストーリーは気に入るんじゃないかな。

―私も大好きな作品が増えました。今日はどうもありがとうございました!


【関連記事】『ミッション・インポッシブル』でトム・クルーズの吹替を担当! 声優・森川智之さんを直撃
http://getnews.jp/archives/1097476

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