
(以下、ネタバレ注意)
スパイダーマンの映画がマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に参入して初となる単独作は、多くのファンの賛同を得るために、他のスーパーヒーローの登場が不可欠だった。ロバート・ダウニー・Jr.がトニー・スターク/アイアンマンとして出演したのを始め、ピーター・パーカーの通う学校では教材にキャプテン・アメリカが登場。ソーやS.H.I.E.L.D.、その他のキャラクターにも言及するなど、ファンを取り込むための様々な要素が詰まっていた。
しかし今作には、スパイダーマンの55年間に及ぶ歴史、そして絶え間なく拡大するMCUに関して、より気付きにくい隠しネタが存在する。以下、映画『スパイダーマン:ホームカミング』において見逃したかもしれない10のイースター・エッグを紹介する。
スパイダーマンのテーマソング
『ホームカミング』はスパイダーマンの長い歴史に対する目配せと共に始まる。MCUでお馴染みのマーベルロゴのオープニングにおいては、通常の音楽ではなく、1967年のアニメ版『スパイダーマン』のテーマソングが採用されている。
ピーターのクラスメイト
過去シリーズと比べ、今作ではピーターの学園生活が重要なパートとして描かれている。そのため、彼はクラスメイトたちとより多くの時間を共有している。彼らの中には、スパイダーマンの歴史においてよく知られた名前を持つ者が多い。
ネッド・リーズ:今作のネッド(ジェイコブ・バタロン)はピーターの親友で、「椅子の男(パソコンの前に座りヒーローに指示を出す役割)」である。しかし、コミックにおけるリーズは、実はホブゴブリンとなる存在だ。映画版のキャラクターが同様の道をたどることはなさそうだ。
リズ・アラン:今作でピーターが恋する彼女は、コミックでは『Amazing Fantasy #15』でスパイダーマンと同時にデビューを果たしている。ピーターとフラッシュ・トンプソンが彼女に思いを寄せる。
フラッシュ・トンプソン:どのバージョンでも、フラッシュは常に高校でピーターをイジメる存在だ。
ベティ・ブラント:コミックでは新聞社デイリー・ビューグルで働いていたが(サム・ライミ監督の映画ではエリザベス・バンクスが演じていた)、『ホームカミング』ではピーターのクラスメイトの一人だ。彼女は校内ニュース番組のレポーターとして、ジャーナリストのキャリアを早々と形成している。面白いことに、コミックのベティ・ブラントは、悪に転じる前のネッド・リーズと交際していた。
「友達は私のことをMJと呼ぶ」
ミシェル(ゼンデイヤ)は、『ホームカミング』のほとんどの場面で目立たない存在だった。自分の周りで起こっている出来事を気にするよりも、読書に夢中である。終盤、ミシェルが学力コンテストチームのキャプテンに任命にされた場面になって、ようやく彼女は友人からMJと呼ばれていることを明かした。
コミックでMJはスパイダーマンの最愛の人、メリー・ジェーン・ワトソンのニックネームである。
ヴァルチャーの子分たち
マイケル・キートン演じるエイドリアン・トゥームス(またの名をヴァルチャー)は、スパイダーマンが現れるまで順調に悪事を働いていた。トゥームスのチームには、スパイダーマンのヴィランとしてよく知られた名前を持つ者が2人いた。
ハーマン・シュルツ:ハーマン・シュルツ(ボキーム・ウッドバイン)は、『ホームカミング』でスーパーヴィランの名称を名乗る。彼はショッカーだ。スパイダーマンの犯罪者リストにおいて大物というわけではないが、グリーンゴブリンが登場した数年後にスクリーンでショッカーの姿を見ることができたのは面白い。
フィニアス・メイソン:フィニアス・メイソン(マイケル・チャーナス)は、劇中でヴィランとしての名称を名乗ることはなかったが、コミックではティンカラーとして知られている。
マック・ガーガン
ヴァルチャーが武器密売のためにフェリーで面会し、後に刑務所で出くわした男は、マック・ガーガン(マイケル・マンド)である。劇中では首に彫られた大きなタトゥーの全貌を見ることはできなかったが、マック・ガーガンは後にスコーピオンとなる人物だ。
「この近くに甥が住んでいる」
『ホームカミング』でドナルド・グローヴァーが演じたのは小さな役だったが、スパイダーマンのファンにとっては興奮に値するものだった。グローヴァーが演じたのは、アーロン・デイヴィス。後にプロウラーという名の悪者になる軽犯罪者だ。しかしながら、今作においてはその片鱗を見せなかった。
スパイダーマンに尋問を受ける間、デイヴィスは近くに甥が住んでいることに言及した。アーロン・デイヴィスは、アルティメット・スパイダーマンとして知られるマイルズ・モラレスの叔父である。コミックのマイルズは、アルティメット・ユニバースのピーター・パーカーがグリーンゴブリンに殺された後、スパイダーマンを引き継ぐことになる。彼は現在、我々が良く知っているピーター・パーカーと共に正史世界である616ユニバースに属しており、MCUにおいても同じようだ。
テレビシリーズ『Atlanta(原題)』で知られるグローヴァーがマイルズの叔父役にキャスティングされたのは、米ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントがアンドリュー・ガーフィールドを主演に映画を作る前の2010年に、グローヴァーがスパイダーマン役を獲得しようと活動していたからだ。その結果、彼はアニメシリーズ『アルティメット・スパイダーマン』のいくつかのエピソードでマイルズ役の声優を務めた。
カレン
スパイダーマンのスーツに搭載されたAIであるカレンは、土壇場で追加された設定で、他ならぬジェニファー・コネリーが声を務めている。コネリーは、映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のヴィジョン、アイアンマンのスーツに搭載されたAIであるジャービスの声を務めるポール・ベタニーと結婚している。
モリタ校長
巨大なMCUにおいて、素晴らしい、すぐには気付かない隠しネタが、ケネス・チョイ演じるモリタ校長(ピーターが通う高校の校長)だ。映画『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』で、チョイはハウリング・コマンドーズ(米国陸軍の特殊部隊)の一員であるジム・モリタ役を演じた。『ホームカミング』で彼が演じたのは、ジムの孫である。彼がピーターと話す校長室には、ジムとハウリング・コマンドーズの写真が飾られている。
『アメイジング・スパイダーマン #33』
スパイダーマンの映画シリーズは、これまでコミックの有名な表紙や場面に敬意を表してきた(映画『スパイダーマン2』でピーターがコスチュームをゴミ箱に捨てたはずだ)が、『ホームカミング』も例外ではない。今作の終わり近く、ヴァルチャーが崩落させた天井がスパイダーマンの上に落下すると、ピーターは大量の水を降らせてなんとか自力でガレキを押しのける。これは、『アメイジング・スパイダーマン #33』でスティーヴ・ディッコが手掛けた有名なシークエンスをトリビュートしている。
アイアン・スパイダー
最終決戦の騒ぎが収束した後、ピーターはニューヨーク州北部にある新しいアベンジャーズの総合施設に招かれ、輝かしい新スーツの提供とアベンジャーズへの参加を打診される。完全に一緒ではないが、コミックにおけるシビル・ウォーのストーリーにも、スタークがピーターのためにアイアン・スパイダーのスーツを作るという類似が見られる。
―― 会いたい人に会いに行こう、見たいものを見に行こう『ガジェット通信(GetNews)』