映画『X-MEN』シリーズは、マーベル・スタジオやDCエンターテインメントが手掛けているシネマティック・ユニバースに対抗できると、ブライアン・シンガー監督が本紙ヴァラエティに語った。
映画『X-MEN:アポカリプス』のプレス・ラウンド中、これまで全9作品を生み出した同シリーズについて、シンガー監督は「全く同レベルで競える大規模なものだ」「そして今、我々は(2014年の映画『X-MEN:フューチャー&パスト』で)時間軸を改め、無限の可能性を秘めている」と話した。
1つの可能性は、全世界で7億6000万ドル以上の興行成績を誇る冗舌なキャラクター、デッドプールをチームに参加させることだ。米国内の興行収入は、DCの映画『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』をはるかに上回る成績(3億6200万ドル)を収めている。ただし、単にシリーズに参加させるだけなら話は簡単だが、キャラクターを上手に組み合わせることは容易ではない。
「デッドプールのような不遜でメタなキャラクターを、X-MENのようなシリアスなものと結合するのならば、慎重に、そして丁寧に扱う必要がある」「それら全てをごちゃ混ぜにすれば大惨事が起こるだろう。繊細にこなすべきだが、その余地はたっぷりとある」(シンガー監督)。
別な方法としては、自警団のスーパーヒーローたちが集結したグループで、デッドプールが長年にわたって我が家と呼んでいる『Xフォース』シリーズを映画化する手があるかもしれない。かつてシンガー監督は、米20世紀FOXの幹部らに同タイトルの映画化を明確に提案しており、『デッドプール』のライアン・レイノルズは、Xフォースのプロジェクトは優先事項であると語っている。
そのうえで、『X-MEN』シリーズはすでに『Hellfire(原題)』やマーベルと共同プロデュースする『Legion(原題)』のようなテレビシリーズの世界に進出し始めている。シンガー監督は両作品のエグゼクティブ・プロデューサーを務め、テレビの世界でブランドを成長させる余地はたくさんあると語った。
「(探ろうとすれば)余地はまだあると思う」「教室の底辺に軍事的な側面を持つような学校は、常に興味深い。そこに更なる側面はあるか? ヘルファイア・クラブ(X-MENと敵対する組織)に別の側面はあるのか? “誰が世界を動かしているのか” というアイデアは、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』で触れたテーマだが、まだ完全には掘り下げられていない。それは、論理的な方法で丁寧に探求されるべきだが、実際、混乱しやすい。私自身にはそれが明確に思えたとしても、客観的にとって明確かどうかは分からないし、むしろ、観客が我々に教えてくれるのかもしれない。しかし、それがうまく着地すると、すべてがつながるんだ」(シンガー監督)。
この先も、シンガー監督が作品に直接的に関わっていくかどうかは分からない。とりわけ、ヒュー・ジャックマンが次回作を最後にウルヴァリン役を離れると公言しているため、2000年にシンガー監督が作り出したシリーズからも、彼は離脱するかもしれないという噂がある。その一方で、シンガー監督がこれを完全に手放すには、彼はすでに多くを投資し過ぎたという見方もある。
「私はこのシリーズに身を置いて20年近くが経ち、“やり切った” とか “放棄する” といった言葉には、もはや意味がないように思える」「私はこの世界や数多くの俳優たち、彼らが演じたキャラクターたちと密接に結びついている。可能性は、まだまだあるよ」(シンガー監督)。