米ユニバーサル・ピクチャーズは、映画『魔人ドラキュラ』『狼男』『フランケンシュタイン』を生み出した館である。
この話題は、2015年11月17日の本紙ヴァラエティに最初に掲載されている。購読はこちら。
次のマーベルやDCコミックスとなるような作品を見つけようと、製作会社が躍起になって漫画やグラフィックノベルの保管室に乗り込んでいる中、米ユニバーサル・ピクチャーズは、スーパーヒーロー映画の脚本とは別の方向でありながらも、似たような戦略を練っている。
同社は、ハリウッド黄金時代に製作したモンスター映画の数々を現代に蘇らせるため、映画『トランスフォーマー』の原案と脚本を担当したアレックス・カーツマン、映画『ワイルド・スピード SKY MISSION』で脚本とエグゼクティヴ・プロデューサーを担当したクリストファー・モーガンを起用した。2人とも、例えばフランケンシュタインの怪物の首に刺さったボルトのようなクラシック作品の要素を、現代風の設定と混ぜ合わせて現代のテーマと繋げようとするチームを監督している。
モーガンは、「これは高尚な世界ではない。私たちは、家族とは何か、自分は世界のどこに属しているのか?と言った問いを探求している」と、語った。
しかしながら、映画は、ある意味ではマーベルの方法に従っている。コミックのレーベルであるマーベルが、映画『アベンジャーズ』で様々なヒーローたちが集結しひとつの大きな冒険を繰り広げる前に、ヒーローたちが映画の中で互いに関連し会う作品を立ち上げたのと同じように、米ユニバーサル・ピクチャーズも、怪物たちが互いに関係しあう世界観を作ろうと計画している。米ユニバーサル・ピクチャーズの会長ドナ・ラングレーは、「キャラクターたちは、お互いの作品を越えて関係し合うことになる。我々はアイデアを生み出している段階で、正しいやり方を見つけるために時間をかけているところだ」と、語っている。
この計画とは、今後毎年出てくるモンスター映画のことだ。第1弾は、2016年に撮影を予定しているミイラ男をベースにしたものになり、他にもドラキュラやヴァン・ヘルシング、フランケンシュタインの花嫁、狼女などの作品が短期間で後に続く予定だ。カーツマンとモーガンはそれに備え、オリジナルの作品でフランケンシュタイン役を務めたボリス・カーロフや、ドラキュラを演じたベラ・ルゴシが出演するモンスター映画をひたすら鑑賞し、また、ジャンルの枠を広げるために、ハマー・フィルム・プロダクションのホラー作品やその他の恐怖映画作品を鑑賞してその枠を拡大している。
カーツマンは、「私たちは神話を創りあげているので、規範となる作品を見て、“何がルールなのか?ルールを破っても平気なところは何か、逆に手を触れてはならないところは何か?”ということを考えている」と、語る。
ストーリーボードを作る作家やデザイナーは様々な作品の外観や雰囲気を作り、モンスター映画を監督するために各作品ごとに10人の作家が起用されている。
カーツマンは、「私たちが前進するように、どのようにモンスターたちがその世界にフィットするのか、多くの才能ある人たちと意見を交換している」と、説明する。
チームを率いるため、米ユニバーサル・ピクチャーズの幹部は、『ドラキュラ』や『凸凹フランケンシュタインの巻』のような映画によってホラー映画への愛にインスピレーションを受けたと信じる2人の自称ホラーオタク(カーツマンとモーガン)を見つけ出したわけだ。
モーガンは、「私はモンスター映画を見て育った」と言い、「私はニセモノの自分の嘔吐物を作り、そうすることで学校に行かずに家で『キャット・ピープル』のようなテレビ番組を見ることができた。今でも、何を使って作ったか言うことができる・・・オレンジジュースに塩味のクラッカー、ペプシ、そして牛乳だ」と、続けた。
カーツマンもモーガンも、『キャプテン・アメリカ』を初めて見てから10年以上が過ぎ、バットマンやその他のヒーローたちがお決まりのように現代社会を救うことについて、観客はペースを変える時期にきていると考えている。
モーガンは、「ヒーローたちは完璧な傾向があるが、観客の大部分は、地球上で最も賢く、強く、あるいは素早い者は何なのかを今まで知ろうとしなかった」と語り、「誰もがみな心の中に闇を抱えているが、災いや不幸を生きる力に変えたいと思っている。モンスターたちは今まで暗闇の中にいたが、今こそ日の当たる場所へ出るときがやって来た」と、続けた。